初頭効果と親近効果の違いは?
長期記憶と短期記憶の関連は?
話し方、営業がうまくなりたい。
そんなあなたに向けた記事です。
話し方が苦手な人っていますよね。抑揚がなく何を伝えないのかわからない。どこが重要なポイントなのかわからない。
スピーチやプレゼンなど、話す時間が長くなるとさらに何をいっているかわからない。
もしかしてそれ、初頭効果、親近効果を意識していないからかもしれません。
逆に、初頭効果、親近効果の違いを意識するだけで話し方は劇的に改善します。
ビジネスや人間関係に応用できる基本の心理効果なので、ぜひ最後まで読んでみてください!
最後には応用しやすい心理学のテクニックもいくつか紹介しています!
✔本記事のテーマ
【初頭効果と親近効果とは?】長期記憶と短期記憶のせめぎ合い!
✔本記事でわかること
初頭効果と親近効果とは?
【系列位置効果/長期記憶と短期記憶/ハロー効果・アンカリング効果/応用例など】
初頭効果と親近効果とは?
1.初頭効果と親近効果、長期記憶と短期記憶
物事を記憶する際、その順番によって記憶の度合いに差が生じることがあります。
これを系列位置効果といいます。
系列位置効果は、情報が提示される順序によって、情報の記憶や再生に影響を与える2つの要素から成り立ちます。それは、「初頭効果」と「親近効果」です。
初頭効果は、最初に提示された情報が記憶に残りやすいという現象です。最初の情報が相手の注意を引き、一連の情報の中で重要性を持つという効果があります。
初頭効果により、最初の情報は長期記憶に強く保存されます。
親近効果は、最後に提示された情報が記憶に残りやすいという現象です。最後の情報は直近の出来事であるため、より鮮明に記憶される傾向があります。
親近効果により、最後の情報は短期記憶に強く保存されます。
初頭効果と親近効果には、系列の中間部分に位置する情報が最も影響を受けにくい傾向があります。
中間部分の情報は、初頭効果に比べて注意の割り当てが低く、親近効果に比べて記憶の鮮明さに欠けることがあります。
このため、系列位置効果では、最初と最後の情報がより強く記憶される一方で、中間の情報は相対的に忘れられやすい傾向があります。
そこで情報を効果的に伝えるためには、初頭効果や親近効果を活用することが重要です。
例えば、プレゼンテーションでは、重要なポイントを最初と最後に配置することで、情報の受け取りやすさを向上させることができます。
2.初頭効果と親近効果の英訳
初頭効果は「Primacy Effect」、親近効果は「Recency Effect」と表現します。
「primacy」は、第一位、優位、重要などの意味を持ちます。
「recency」は、最新、直近、最近などの意味を持ちます。
なお、初頭効果(Primacy Effect)はアッシュの同調実験で有名なソロモン・アッシュによって提唱されました。
アッシュは他者の印象がどのように形成されるかの研究を行った、社会心理学の開拓者の一人です。
3.初頭効果と親近効果の応用
初頭効果と親近効果はどちらがより効果的かというものではありません。
特性に応じて使い分ける、組み合わせて効果を最大化することが大切です。
①人の印象は初頭効果が強く働く
次のAとBで、どのような印象を持つでしょうか。
Aさんの特徴:明るい、元気、よくしゃべる、せっかち
Bさんの特徴:せっかち、よくしゃべる、元気、明るい
同じようで受け取るニュアンスが異なりませんか?
Aさんは「明るい」、Bさんは「せっかち」な印象が目立ちませんか?
一般的に人の印象は長期記憶に残りやすいため、良い情報を前に、悪い情報を後に持ってきた方がよいとされています。
自己紹介を最初に行うのは、礼儀の問題もあるかもしれませんが、最初の印象が重要だからです。
このような最初の印象が相手に影響を及ぼす心理現象に、ハロー効果とアンカリング効果というものがあります。
ハロー効果とは、相手の特定の印象から、その他の側面についても、その印象に引きずられるように評価してしまう心理効果のことです。
アンカリング効果とは、人々が特定の情報に基づいて判断する際に、最初に提示された情報に影響を受ける心理効果のことです。
どちらも営業や広告宣伝、人間関係に応用できる心理効果なので、気になる方は以下の詳細記事をチェックしてみてください。
②単純な情報、暗記は親近効果がおすすめ
次の言葉を覚えてください。
あたらかな、まさわらな、わたさかま、らたあまな
暗記時間が限られている場合、最も記憶に残るのは、「らたあまな」です。
単純な情報を覚えるとき、最後の情報が短期記憶として最も記憶に残りやすくなります。
一夜漬けの勉強、テスト直前の詰め込みなどの短期記憶に頼った学習で、直前の暗記内容しか結局覚えていなかった。そんな経験はありませんか?
③関心がうすい相手に情報を伝えたいときは初頭効果が重要
相手があなたに関心があれば、多分、話を最後まで聞いてくれるでしょう。
一方で相手があなたに興味がないとき、最後まで話を聞いてくれる可能性は低くなります。
相手が見ず知らずの人の場合や相手に聞く姿勢がない場合、初頭効果が重要になってきます。
最初にインパクトのある話をし、できる限り話を長時間聞いてもらえるような工夫が必要です。
また、スピーチやプレゼンをするとき、最後に話すことを示唆する、最初にどういった章立てで話すのかを説明するなど、後半内容に興味を持たせるのもよいでしょう。
④話す順番を工夫する
話の構成がA→B→Cの場合、系列位置効果によるとBが最も記憶に残りにくくなります。
なので、最重要の情報はAかCに持ってくることをおすすめします。
相手に話を聞く体制が整っている場合はCを、相手に話を聞く体制が整っていない場合はAを重要視する。
※興味がうすいときは初めが肝心!
好印象を与えたい場合はAを、単純な情報はCを重要視する。
※人の印象は最初で決まる、単純な情報ほど忘れやすいから後にする!
このように話す内容に応じて、あるいは聞く人の様子に応じてどこに情報を配置するのか、どこで盛り上げるのかを考えることが重要です。
慣れてくると話している途中で、聞き手の様子を見ながら構成を変えられるようになります。
⑤営業への応用
次の商品A、Bがあるとします。
商品A:高品質、高い
商品B:低品質、安い
まず、マイナスな用語を別の表現で置き換えて印象を変えます。
商品A:高品質、高価
商品B:簡素、安い
さて、商品Bの印象をよくしたい場合はどうしたらよいでしょうか。以下のようにしてみます。
商品A:高価、高品質
商品B:安い、簡素
初頭効果の影響で、Bの利点である「安い」がより際立ちます。
ブランド品を持つことに意味を見出す人の場合、どちらの方がよいでしょうか。
商品A:高価、高品質
商品A:高品質、高価
この場合、上の方がむしろ売れやすいかもしれません。「高価」であることに意味を見出す層が一定数いるからです。
以上からわかるように、顧客の性質や何を求めているのかによって、どのような表現が刺さりやすいかは異なります。
このときに様々な心理効果を知っていると、多くのアプローチの仕方が考えられるようになります。
以下、心理学の記事をいくつか載せておきますので、興味があるものがあればぜひ読んでみてください。
今回は以上です!
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