仕事の売り上げが上がらない、恋愛もうまくいかない。
ドア・イン・ザ・フェイスの意味は?
反対語のフット・イン・ザ・ドアとの関連は?
そんなあなたに向けた記事です。
ドア・イン・ザ・フェイスはフット・インザ・ドアとともに、ビジネスや人間関係へ応用しやすい心理学のテクニックです。
本記事では応用例の他、効果を最大限にするための注意点も解説しています。5分程度で読めますので、最後までお付き合いください。
✔本記事のテーマ
【恋愛・ビジネスに使える?】ドア・イン・ザ・フェイスで相手にぐっとせまれ!
✔本記事でわかること
- ドア・イン・ザ・フェイスとは?
- ドア・イン・ザ・フェイスの反対語は?
- ドア・イン・ザ・フェイスに関連する実験
- ドア・イン・ザ・フェイスの応用例と注意点
1.ドア・イン・ザ・フェイスとは?
ドア・イン・ザ・フェイスとは、最初に大きな要求が断られた場合、次にする小さな要求が受け入れやすくなるという心理的手法のことです。
相手は初めの大きな要求を断ることで罪悪感を感じ、その後の小さな要求を受け入れることで、その罪悪感を解消しようとする傾向があるとされています。
そのため、ドア・イン・ザ・フェイスは譲歩的依頼法と呼ばれることもあり、返報性の原理を応用した手法でもあります。
返報性の原理をおおまかに説明すると、何かをしてもらったらその相手にお返ししたくなるということです。
もう少し具体的な例で示しましょう。
- Aを販売員とし、Bが顧客であるとします。AはBにある商品を10万円で売りたいと考えているとします。
- Aは最初にBに対して15万円で提示します。Bは高いと感じ、断ります。
- 次に、Aは「それではBさんには特別に10万円で提供しますよ!」とでもいって再提案します。
- すると、Aさんが値下げしたという譲歩に対し、Bさんは購入して返報しようという心理が働きます。
このように、ドア・イン・ザ・フェイスは相手の良心に訴えかけるような手法であるため、ビジネスの他、人間関係に活用、時には悪用されることがあるのです。
なお、ドア・イン・ザ・フェイスの由来は、「shut the door in the face」とされています。日本語だと門前払いのような意味を持つフレーズです。
訪問販売員が「ちょっとよろしいですか~」といった具合に家の扉をのぞき込んでいるようなシーンをイメージするとわかりやすいかもしれません。
ここで、アンカリング効果に関する記事をご紹介します。
アンカリング効果は、最初に提示された情報(アンカー)に影響を受けて人々が物事を判断をする傾向があることを指します。
アンカリング効果とドア・イン・ザ・フェイスは関連が深い心理現象であるため、アンカリング効果という用語を聞いたことがない方はご一読ください。
2.ドア・イン・ザ・フェイスの反対語は?
ドア・イン・ザ・フェイスは、フット・イン・ザ・ドアという心理学的手法と比較されることがあります。
フット・イン・ザ・ドアとは、最初に小さな要求を承諾させてから段々と要求を大きくしていき、最終的に目標である要求を承諾させる心理学的手法です。
例えば、1000円のお小遣いをお父さんからもらいたいときに、「ちょっと、友達と遊びにいきたいんだけどいい?」とでも言って小さな「イエス」を引き出す。
次に、「映画館に行くんだ、だから1000円ちょうだい」とでも言ってみる。すると、一度遊びに行くことを認めている手前、父親は子に「ノー」とは言えなくなる。
単純に説明するとこのような感じです。一度認めたから断りづらいといったような性質から、一貫性の原理の一つであるといえます。
一貫性の原理をおおまかに説明すると、最初から最後まで一貫して矛盾のない言動をしたいという人々の心理傾向のことです。
フット・イン・ザ・ドアはドア・イン・ザ・フェイスとともにビジネスや人間関係に応用されるテクニックであるため、あわせて理解しておきましょう。
3.ドア・イン・ザ・フェイスに関連する実験
ドア・イン・ザ・フェイスに関する実験としては、社会心理学者であるロバート・B・チャルディーニの次の実験が有名です。
- 学生に「ボランティアとして非行少年を動物園に2時間連れて行って欲しい」とお願いする。了承した学生は約17%だった。
- 学生に「ボランティアとして2年間、2時間のカウンセリングをして欲しい」とお願いする。了承した学生は0%だった。続いて、非行少年を動物園に2時間連れていって欲しいとお願いをする。了承した学生は約50%だった。
ドア・イン・ザ・フェイスの効果により、了承した学生が約3倍になったということです。
4.ドア・イン・ザ・フェイスの応用例と注意点
ビジネスと人間関係の場面でのドア・イン・ザ・フェイスの応用例を紹介します。また、効果を最大限に引き出すための注意点を記します。
①ビジネスへの応用
営業やマーケティングにおいて、価格交渉や契約交渉などで使用することができます。
冒頭での10万円の商品の売り込みが典型ですが、値引き交渉に使うこともできます。
例えばある販売所で、最初に50%の割引を要求する。断られたら30%に引き下げて割引を要求する、といった具合です。
②人間関係への応用
パートナーにおねだりをする場面を考えてみましょう。
例えば、どうしてもディズニーランドに出かけたい場合、まずは旅行の誘いをしてみる。断られたら、「ディズニーランドなら日帰りでいけるからどう?」などとお願いをしてみる。
他にも意中の相手と連絡先を交換したい場合、遊びの約束をしてみる。断られたら、「それならまずはLINEでやりとりぐらいならどう?」などとお願いをしてみる。
ただし、いくつかの記事で再三述べていることですが、恋愛指南書で紹介されるような心理学を用いた恋愛関係へのアプローチの仕方は、相手がある程度好印象を持っていないと通用しないものがほとんどです。
ちなみにザイアンス効果というものがあります。ザイアンス効果は単純接触効果とも呼ばれ、接触回数が多ければ多いほど相手の印象が良くなるという心理効果です。
相手がマイナスの印象を持っている場合、ザイアンス効果を用いたアプローチはただのストーカーでしかありません。
そこで、まずは相手の印象を良くする努力をすることが大切です。これには、ハロー効果の理解が一番です。
以下に参考記事を載せておきましたので、ぜひ読んでみてください。
③ドア・イン・ザ・フェイスの注意点
ドア・イン・ザ・フェイスを活用するためには、以下のことが重要です。
- 最初に提示する金額などの要求を大きくし過ぎないこと。
- 期間をあけない。相手の罪悪感がなくなる前に次の要求を行うこと。
- 同じ相手に使わないこと。何度も通じるテクニックでは無いことを理解すること。
そして、最も重要なことは相手に不信感・不快感を与えないことです。
ドア・イン・ザ・ドアはビジネスや人間関係に活用することができる一方、その性質から詐欺などの手口で悪用されることもあります。
当サイトの目的の1つに、心理学を知ることで自分をコントロールしようとする者から身を守るというものがあります。
以下、心理学を詐欺に悪用する手口を記した記事を紹介します。上2つがそれにあたります。
また、倫理的に問題のある行動をとる人間の心理に焦点を当てたミルグラムの実験の記事もご一読ください。
心理学を学び、それらを悪用しようとする者から自分の身を守ってください。今回は以上です。
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