【沈黙の螺旋の具体例10選】少数派がさらに少数派になってしまう事例

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知りたガリお

沈黙の螺旋の具体例をできるだけたくさん知りたい!

そんなあなたに向けた「沈黙の螺旋」の「具体例」に特化した記事です。

沈黙の螺旋とは、同調圧力によって少数派が沈黙を余儀なくされる過程を示したもので、1966年にドイツの政治学者ノイマンによって提唱された仮説です。

沈黙の螺旋のメカニズムについては、以下の記事をご覧ください。今回の記事は具体例に特化します。

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✓本記事のテーマ

【沈黙の螺旋の具体例10選】少数派がさらに少数派になってしまう事例

✓本記事でわかること

【沈黙の螺旋の具体例】ノイマンの仮説/インターネットビジネス/サイバーカスケード/政治・軍事/勝ち組/三高/レビューサイト/コロナ禍のマスク/いじめ/マイノリティ排斥問題

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沈黙の螺旋の具体例10選

1.ノイマンの仮説のきっかけ

1965年のドイツ連邦議会選挙で争っていた2つの政党がありました。選挙直前まで2つの政党の支持率は拮抗していましたが、いざ開票してみると片方の政党の圧勝に終わりました。

事前の世論調査では圧勝した方の政党の支持率が半年前から急激に伸びており、世論はこの政党が優勢であることを選挙前から認識していました。この事例は沈黙の螺旋をノイマンが提唱するきっかけとなりました。

沈黙の螺旋が起きる構造では、少数派は孤立を恐れ無自覚に沈黙するようになります。これにより、多数派はますます雄弁になるようになります。そして多数派はより多数派に、少数派はより少数派になっていきます。

ノイマンの主張では、他者の意見を知る上でメディアの存在が重要であるとされています。

2.インターネットビジネス

検索エンジンにおけるgoogleのシェア率は、日本では7割強、アメリカでは8割強という圧倒的なものです。EC市場におけるシェア率は、Amazonが他の追随を許しません。

このように、インターネットビジネスの世界で一極集中化が起きているのも沈黙の螺旋の例とされています。

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3.サイバーカスケード

サイバーカスケードとは、特定のウェブサイト内という閉鎖的な空間で偏った議論がなされた結果、極端な世論が形成されてしまうことです。

サイバーカスケードは、同じ意見を持つ者同士がつながりやすいというインターネットの性質によって生じ、例え意見が事実でなくても、少数の意見が先鋭化されて大多数の正しい意見のように見えることがあります。

具体的な例はネット上の炎上です。炎上事件で批判されている人物に肯定的な意見を述べると、意見を述べた人物まで炎上する恐れがあります。

そのため、反論を恐れ肯定的な意見を公に公開することを避ける場合があります。これにより、否定的な意見のみが目立つようになります。

4.政治・軍事

第二次世界大戦前、一部の軍部の意見から急速に開戦ムード一色になっていきました。

戦争に反対する者は非国民として排除され、あたかも国民全体が戦争に賛成しているかのような世論形成がなされました。

このように、政治や軍事が関係する事例で沈黙の螺旋の構造が散見されます。

5.勝ち組

長い物に巻かれる、勝ち馬に乗るなどの言葉は、日本に古来より沈黙の螺旋の構造が存在していることをほのめかしています。

近年では「勝ち組」という言葉がよく使われるようになりました。

2000年ごろより勝ち組企業の報道がなされた結果、就職戦線において一部の学生の目がこれらの企業に注がれるようになりました。

これにより、「我こそが勝ち組に」とばかり、特定企業に応募が殺到するという事態が起こりました。

6.三高

三高とは、 「高学歴」、「高収入」、「高身長」の男性のことです。1980年代末のバブル景気全盛期に、女性の結婚相手の条件としてマスコミがこぞって報道しました。

2000年以降、3C、3Kと女性が結婚を求める条件は変化したと言われていますが、今現在でも「三高」という言葉の影響は影を落としています。

例えば2022年の2月、人気プロゲーマー・たぬかなさんが配信中に「身長170センチメートル以下の男性は人権がない」などと発言したことが物議をかもしました。

また、マッチングアプリでは依然として三高が人気であるという調査結果もあります。

7.レビューサイト

食事処を調べるとき、食べログなどのレビューサイトを参考にする人が増えています。これらの影響から、インターネット上で評価を集めたお店のみ、ますます人気が出ていきます。

一方、これらのレビューサイトで一度低評価がつくと、人気回復が難しくなります。

客足も途絶えるどころか、低い評価がつけられたお店には低い評価がつけやすいという負の同調圧力が働くからです。

近年、高評価を演出するためのサクラの存在や、競合店の人気を下げるために低評価をつけるなどの問題が生じています。

8.いじめの構図

いじめが加速する原因にも沈黙の螺旋の構造があります。

例えば学校のクラス内にいじめが起きた場合、いじめをする側はクラス内で優位な人間であることが多いです。クラス内でこういった人間には逆らえないといった構図が生まれた場合、いじめに加担する者が徐々に増えていきます。

また、自分に矛先が向かうのを恐れていじめに反対する声をあげるのも難しくなってきます。

ここに、傍観者効果などが働いていじめはさらに加速していきます。傍観者効果を端的に説明すると、見て見ぬふりということです。

詳しくは以下の記事をお読みください。あわせていじめと攻撃性の関連を解説した記事も載せておきます。

9.コロナ禍のマスク

2023年現在、マスクをつけずに出る歩く人も増えてきましたが、コロナ流行当初はマスクをつけるのが常識であるという風潮でした。

マスクをすることに効果がないとする専門家も多数いたようですが、マスコミ報道では少数派のように報道されました。

マスク着用が日本全体にアナウンスされた結果、「マスクをしない人間=コロナをまき散らす悪」というレッテルが貼られることになりました。

これにより、電車内で少しマスクを外した人を見かけるだけでどなり散らす老害などが現れました。

10.マイノリティの排斥問題

2016年、マイノリティに関する3つの法律が施行されました。その3つは、ヘイトスピーチ解消法、障害者差別解消法、部落差別解消法です。

マイノリティ排斥の問題でも沈黙の螺旋が語られることがあります。ヘイトスピーチが典型で、過激なスピーチにより特定の人間に対してマイナスなレッテルが貼られます。

マイナスな印象を与えられたその人物に対する擁護の声よりもヘイトスピーチの方が雄弁である場合、やがてヘイトスピーチの論調が多数派であるという印象形成が行われていきます。

これにより同調圧力が働き、マイノリティ排斥が加速していきます。法律として定めたのも、沈黙の螺旋の構図が起き得る問題だからではないでしょうか。

以下、同調圧力、集団浅慮など集団心理に関する社会心理学の用語などをまとめた記事です。知らない言葉がある場合はチェックしてみてください。

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