沈黙の螺旋とは?ノイマンの仮説をわかりやすく解説【避けられないメディアの影響】

心理学の応用
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知りたガリお
 

沈黙の螺旋について詳しく知りたい。

そんなあなたのための、「沈黙の螺旋」に特化した記事です。

本記事では沈黙の螺旋の用語解説のほか、対抗策や注意点などを解説しています。

また、後半では関連用語の紹介を行っています。

3分あれば読めますので、ぜひ最後までお付き合いください。

✓本記事のテーマ

沈黙の螺旋とは?ノイマンの仮説をわかりやすく解説【避けられないメディアの影響】

✓本記事でわかること

【沈黙の螺旋をわかりやすく解説】沈黙の螺旋とは/ノイマンの仮説/悪魔の代弁者/斉一性の原理/自薦の用心棒など

沈黙の螺旋をわかりやすく解説

1.沈黙の螺旋とは?

沈黙の螺旋とは、同調圧力によって少数派が沈黙を余儀なくされる過程を示したもので、1966年にドイツの政治学者ノイマンによって提唱された仮説です。

1965年のドイツ連邦議会選挙において争っていた2つの政党が、直前まで拮抗していたにも関わらず、結果は片方の政党の圧勝に終わりました。

この結果には、選挙前に行われた世論調査が影響していると考えられています。その調査では、圧勝した政党への支持が明らかに優位だったのです。

つまり、世論はどちらが優勢であるかを選挙前から認識していたということです。

圧勝した方をA党、大敗した方をB党とすると、以下のようなことが起こっていました。

  • A党支持者とB党支持者の数は拮抗していた。
  • しかし、A党支持者の方が声が大きかった。
  • B党支持者は反対や孤立を恐れて沈黙傾向にあった。
  • これにより、A党支持者はより雄弁になっていった。
  • 次第に、A党支持者の数が優位になっていった。

このように、孤立を恐れた少数派が無根拠に沈黙することで、多数派の声が際立つようになる。

さらに社会への同調が相まって、多数派の論調はより増大するといったことが起こるのが沈黙の螺旋です。

2.ノイマンの仮説

人が他者の意見を推測するためには、世論調査などのマスメディアの情報が重要視されるとノイマンは主張しています。

また、人は社会的な存在であり、世間に逆らうことに苦痛を感じ、孤立することに恐怖すると考える。

意見を口に出せば多数派から反対され、拒絶するのではないかと考える。

このような、他者に同調する傾向にある個人の存在がノイマンの仮説の前提になります。

  • 人は周囲の人間の反応や社会の動向を察知して行動を決定する。
  • その際、マスメディアの情報を利用する。
  • マスメディアはどの世論が優勢であるかを世間に提示する。
  • 人間は社会の中で孤立することに恐怖を感じる。
  • 少数派は多数派からの反対や孤立を恐れる。
  • 少数派は自分の意見を表明するのを避ける。
  • マスメディアは持続的に世論の論調を報道する。
  • 多数派はより雄弁に、少数派はより沈黙へと向かう。
  • 多数派はより多数派に、少数派はより少数派になる。

このように、少数派の沈黙が螺旋状に増大していくのが沈黙の螺旋です。

3.沈黙の螺旋への対抗策「悪魔の代弁者」

ノイマンの仮説では、孤立の恐れない人々の存在も説明されています。

このような人々を世論への挑戦者といいます。

安定のために多数派が必要である一方で、変革のためにこれらの少数派は欠かせない存在です。

一般的に、沈黙の螺旋への対抗策として「悪魔の代弁者」が有用であるとされています。

悪魔の代弁者とは、議論をするときに意図的に反対意見を述べる役割を持つ人のことです。

ディベートなどで、同調圧力によって批判や反論がしにくい空気をなくすために、悪魔の代弁者を設定することがあります。

要は、議論を健全にするための存在ということです。

沈黙の螺旋は、職場の会議でも起こりやすい問題です。

特に権力のある者が多数派に属する場合、沈黙の螺旋が起こりやすくなります。

特定の方向に意見が傾いてしまわないように、権力のある者は司会に徹するなど公平な態度を表明することが重要です。

また、悪魔の代弁者を設定するなどし、自由に反対意見が述べられる環境を構築することが重要です。

4.斉一性の原理と自薦の用心棒の存在に注意

斉一性の原理とは、ある集団における意思決定において、異論や反論がなされないまま特定の方向に議論が進んでしまうことです。

陪審員制度で、対象者が前科持ちなどで印象が悪い場合、有罪であると決めつけられ、不利な証拠のみが提出されることがあります。

このように、陪審員制度などの問題点を説明するときに用いられるのが斉一性の原理です。

そして、斉一性の原理が働く場面では、必ず自薦の用心棒が存在するとされています。

自薦の用心棒とは、特定の意見に対する異論や反論をつぶすために、ネガティブキャンペーンをする存在のことです。

沈黙の螺旋は孤立を恐れるという人の心理が関係しています。

少数派の意見にネガティブな印象を植え付ける自薦の用心棒がいる場合、沈黙の螺旋がさらに加速するため注意が必要です。

さて、今回は沈黙の螺旋についてでした。

沈黙の螺旋に類似する現象であるバンドワゴン効果については、以下の記事をお読みください。

同調圧力や集団浅慮については以下の記事をお読みください。

今回はここまでです。

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