【傍観者効果とは?】キティ・ジェノヴィーズ事件と見て見ぬふりやいじめが起きる理由【怖い心理学】

心理学の応用
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知りたガリお
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心理学に関連する事件を知りたい!
傍観者効果、キティ・ジェノヴィーズ事件、多元的無知について詳しく知りたい!

そんなあなたに向けた記事です。

1964年ニューヨーク、キティ・ジェノヴィーズ事件という衝撃的な事件が起こりました。

なぜ38名もの目撃者は30分以上に渡り通報しようとしなかったのか……

真相に迫ります。

本記事は5分程度で読めますので、ぜひ最後までお付き合いください。

✔本記事のテーマ

【傍観者効果とは?】キティ・ジェノヴィーズ事件と見る見て見ぬふりやいじめが起きる理由

✔本記事でわかること
  • 傍観者効果とは?
    【キティ・ジェノヴィーズ事件/傍観者実験/多元的無知】


傍観者効果とは?

①キティ・ジェノヴィーズ事件

キティ・ジェノヴィーズ事件とは、1964年にニューヨークで起きた婦女殺人事件のことです。

被害者となったキティ・ジェノヴィーズが暴漢であるウィンストン・モーズリーに襲われた際、彼女の叫び声によって近隣住人38名が犯行を目撃したとされています。

それにも関わらず、犯行が起きている30分以上に渡り、誰一人ジェノヴィーズを助けることなく、警察への通報もなされませんでした

モーズリーは同様の犯行をこれまでも繰り返し、傍観者の心理をよく理解していました。

モーズリーは多数の住人に犯行を目撃されたにもかかわらず逃げなかった理由について、「目撃者はすぐ窓を締めて寝るだろうと思ったし、実際にその通りになった」と事件後に告白しています。

それでは、なぜ多くの目撃者がジェノヴィーズを助けなかったのでしょうか。

多くのマスメディアは「都会の人間特有の他人に対する無関心さが原因」として報道しましたが、果たして原因はそれだけなのでしょうか。

②ラタネとダーリーの傍観者実験

1968年のこと、キティ・ジェノヴィーズ事件に興味を持った心理学者であるラタネとダーリーは、自身の仮説を検証する実験を行いました。

彼らは事件において多くの目撃者がジェノヴィーズを助けなかった理由を、「目撃者が多かったためにかえって助けようとする行動が抑制された」と考えました。

実験は以下のように行われました。

  • 被験者を討論会に参加させた。
  • 討論会の参加者は相手の様子がわからないように個室に分けられ、インターフォンごしで討論が行われた。
  • 討論会の途中で参加者の一人が発作を起こす演技をし、インターフォンで助けを求め、被験者の様子を観察した。
  • この実験は2名、3名、6名の3パターンのグループで複数回行われた。すべての実験で被験者は1名で、その他のメンバーはサクラであった。

この実験ではどのような結果が得られたと思いますか?

なんと、参加者が2名のグループではすべての実験で被験者ががインターフォンで援助要請をした一方で、6名のグループでは38%の人が行動を起こさなかったのです。

この結果が、ラタネとダーリーの仮説である傍観者効果の裏付けとなりました。

ラタネとダーリーといえば社会的手抜き(社会的抑制の一種)の研究でも有名です。傍観者効果と関連が深い心理現象なので、よろしければこちらもご覧ください。

参考記事1:【社会的手抜き?】リンゲルマン効果の例と対策をわかりやすく解説

参考記事2:【社会的促進と社会的抑制とは?】具体例をもとにわかりやすく解説

③援助行動に至るまでの5段階

ラタネとダーリーは傍観者効果の研究から、人が援助行動に至るまでの過程を5段階に分けて考えました。

援助行動に至るまでの意思決定を考える前に、まずは援助行動を阻害する3つの要因を説明します。

  1. 多元的無知:他者が行動しないことによって、緊急事態ではないと考える。例えば、災害発生時に、誰も非難をしないから「大丈夫!」と考えてしまう。
  2. 責任の分散:他人の行動に同調することで、援助行動をしないことへの責任や避難が分散されると考える。まさに見て見ぬふりの状況で起きる考え。
  3. 評価への恐れ:援助行動を起こしたことに対する周囲の評価を懸念する。例えば緊急事態だと思ったけど自分の考え違いだったらどうしよう、など。

そして以下が、ラタネとダーリーが考えた、援助行動に至るまでの5段階の過程です。すべての段階がクリアされることで初めて、人が他者を援助すると考えました。

  1. そもそも事態が発生していることを認識したか?
  2. その事態が緊急性の高いものであると認識したか?
  3. 援助を行うことは自分の責任であるという認識を持ったか?
  4. 適切な援助方法を認識しているか?
  5. 援助を行うことを決断したか?

これをもとにジェノヴィーズ事件を考えてみましょう。

まず、1の段階は、ジェノヴィーズの悲鳴を聞いた多くの目撃者はクリアしたのではないでしょうか。

しかし、2の段階では、「まぁニューヨークではよくあることだからな」とか、「また酔っ払い同士の痴話喧嘩か」などと考えた人がいたかもしれません。

また、「他の住人が騒ぐ様子も見られないから大丈夫か!」と、「多元的無知」の状態になったかもしれません。

次に3の段階では、「目撃者はたくさんいるから自分がわざわざ通報しなくてもよいだろう」と考えた人がいたのではないでしょうか。まさに「責任の分散」です。

そして自分の責任であるという認識を持ったものの、「暴漢からどうやって助け出せばいいかわからない」と考えて4の段階をクリアできなかった人がいたことでしょう。

4の段階には、能力的に自分はできない、援助行動の必要性は理解したものの、安全上の問題をクリアした援助方法がわからない…このようなケースでクリアできないことも考えられます。

最終的な5の段階では、「助けられなかったら恥ずかしいな」とか、「もしかして猫が騒いでいるだけで勘違いだったらどうしよう」など、「評価への恐れ」が生じることで、実際の援助行動が阻害されてしまいます。

このように、5つの段階のすべてをクリアした人間が一人も現れなかったことで、誰もジェノヴィーズを助けず警察に助けを呼ぶこともしなかったという事態になってしまったのです。

④いじめとの関連性

さて、「傍観者効果、いじめ」の検索ワードでこのページにたどりついたという方もいることでしょう。

いじめが起きる原因というより、周囲がいじめを容認する、見て見ぬふりをする原因となるのが、傍観者効果です。

いじめを目撃した際は、傍観者効果の性質を理解した上で、周囲の人間の行動を注視することが重要です。

例えばいじめを止める様子が見られない場合は、援助行動に至るまでの5段階のどの段階を周囲の人間がクリアしていないのか

そして、その原因は、「多元的無知」、「責任の分散」、「評価への恐れ」のいずれなのか

このように分析することで、いじめ抑制のための行動を自身が起こす、あるいは他者に適切に促していくことにつながるでしょう。

傍観者効果と関連が深い心理現象に、同調圧力というものがあります。人が倫理的でない行動をとる理由に焦点をあてた記事とともに、以下に載せておきます。よろしければそちらもご一読ください。今回は以上です!

今回は以上です!

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