【ネズミの楽園?】麻薬依存の原因がわかるラットパークの実験【面白い心理学】

心理学の応用
この記事は約4分で読めます。
知りたガリお
知りたガリお

麻薬依存の原因は何だろう?
ラットパークの実験って何?
面白い心理学の実験を知りたい!

そんなあなたに向けた記事です。今回は短めなので、わずか3分で読めます!

✔本記事のテーマ

【ネズミの楽園?】麻薬依存の原因がわかるラットパークの実験【面白い心理学】

✔本記事でわかること

・ラットパークの実験【実験に至る背景/実験概要/類似実験】

ラットパークの実験

ラットパークの実験とは、1970年代後半にカナダ人心理学者ブルース・K・アレクサンダーによって実施された、薬物依存の原因を調査した実験です。

①ラットパークの実験を行った背景

かつて、麻薬の依存性は意思の弱さが原因であると考えられていました。ところが、20世紀になるとドーパミンの存在が明らかになり、麻薬の依存性は麻薬物質の科学的性質が原因であるとの考えが主流になっていました。
※1958年には2002年にノーベル賞を受賞したことでも有名なアルビド・カールソン博士によって、ドーパミンが脳の精神運動に作用すること、つまり、トーパミンが脳の神経伝達物質であることが明らかにされています。

これに関連し、1970年代後半に、スタンフォード大学のアヴラム・ゴールドスタインによって、以下の実験が行われました。

  • ケージに入れた猿に注射針を刺し、ケージ内のレバーを押すとモルヒネが猿の体内に注入されるようにした。
  • 猿は規則的にレバーを押すようになり、モルヒネに対して依存性を示すようになった。

この実験により、ゴールドスタインは他の動物、例えばラットや人間でも同様の依存性を示すと主張しました。

これに反論したのが、ブルース・K・アレクサンダーです。

アレクサンダーは、麻薬の依存性は麻薬そのものではなく、依存者が置かれた周囲の環境(ストレスなど)が引き起こすと考えました。

この考えの背景にあったのは、19世紀に医療用のアヘンが濫用されたにも関わらず、それによるアヘン依存者が少なかったことです。

②ラットパークの実験とは?

ラットパークとは、実験用に作られたラットの楽園です。十分な広さ、十分な遊具など、ラットがストレスを感じないように作られたものです。

実験は以下のように行われました。

  • 通常の実験用ケージに1匹のラットを入れた。これにより、孤独やストレスが与えられた。
  • 実験用ケージよりはるかに広大なラットパークを用意し、複数匹のラットを入れた。
  • それぞれの実験場に、普通の水とモルヒネ入りの水を用意した。モルヒネ入りの水は大変苦いため、砂糖が追加された。
  • やがて、実験用ケージのラットはモルヒネ入りの水を好むようになった。仮に砂糖の入れる量を減らす、つまりモルヒネ入りの水が苦くなっても、やはりモルヒネ入りの水を好んだ。
  • 一方、ラットパークのラットは、どれだけ砂糖を加えてもモルヒネ入りの水を避けた。
  • 麻薬中毒となった実験用ケージのラットをラットパークに移すと、離脱症状を見せたものの、徐々に普通の水を好むようになった。

以上より、アレクサンダーは、麻薬の依存性は麻薬そのものではなく、環境に原因があると主張しました。

なお、ラットパークと同様の追試験は数多く行われており、それぞれの実験で様々な異なる結果が得られました。したがって、アレクサンダーの実験は賛否が分かれるものとなっています。

③ラットカジノの実験

ラットパークに関連する実験として、ラットのためのカジノによる実験があります。実験は以下の通りです。

  • 32匹のラットに、ボタンを押して当たるとエサが手に入るギャンブルを教えた。
  • ボタンを押して当たりが出るとエサ(リターン)が得られるが、外れが出ると一定時間ギャンブルが中断される(リスク)。
  • ボタンは4種類あり、それぞれに与えられるエサが出る確率や中断時間などには差が設けられていた。
  • 通常、ラットはリスクの割には比較的リターンが良好なボタンを押すようになった。
  • しかし、カジノのように実験場に激しい光や音を与えると、ラットはやがてハイリスク・ハイリターンのボタンを選ぶようになった。
  • ドーパミンD3受容体を活性化する薬を与えると、この傾向はさらに顕著になった。
    ※D3受容体が活性化されると、側坐核に影響が生じる。側坐核は薬物中毒に関わる前脳の一部分。
  • 一方、不活性化する薬を与えると、この傾向は減少した。

この実験は、激しい刺激を与えると薬物依存性が高まる可能性を示唆しています。

今回は短めですが、以上です!

コメント

タイトルとURLをコピーしました