【議論に強くなる】斉一性の原理を理解しないとあなたの意見は通りません【使える心理学】

心理学の応用
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困リーマン
困リーマン

なんで自分は議論が弱いんだろう。会議で全然意見が通らないんだよな。
同調圧力にいつも屈する自分を変えたい。
同調圧力について調べていたら「斉一性の原理」という訳のわからない言葉が出てきたぞ。

そんなあなたに向けた記事です。

集団心理を語る上で外せない、同調圧力。
同調圧力を理解する上で外せない、斉一性(せいいつせい)の原理

聞きなれないこの言葉の意味の解説の他、集団心理で起きる問題点について様々な心理現象の説明とともに解き明かしていきます。

議論が弱い人は、心理現象への理解が弱いことが多くあります。

本記事を読むことで、議論に強い自分に近づいてください

✔本記事のテーマ

【議論に強くなる】斉一性の原理を理解しないとあなたの意見は通りません【使える心理学】

✔本記事でわかること
  1. 斉一性の原理とは?
  2. 十二人の怒れる男と陪審員制度の問題点を心理学で解き明かす

1.斉一性の原理とは?

斉一性(せいいつせい)の原理とは、ある集団における意思決定の場面において、異論・反論の余地が無いままに特定の方向性に議論が進んでしまうことを指す社会心理学の用語です。

イメージがつきにくいと思いますので、具体例を示します。

会議でA案かB案かのどちらかを採用する場面で、議論、比較検討がなされないままにあっさりと片方の案に決まってしまったことはありませんか?

例えばA案が採用された方の案だとします。なぜだか初めからA案が圧倒的多数で、B案は初めから悪者扱い。

A案が良いという論調よりも、B案のネガティブな要素のみが取りざたされる空気感。なんだか政治的要素が絡んでいそうな空気感。

勘の鋭い方なら「あれ、もしかして●●●●●で起きる原理のことかな?」と思われたかもしれません。

そうです、陪審員制度です。

つまり、斉同一性の原理は、多数決の場面ではなく、全員一致の場合で起きる心理現象で、陪審員制度の短所を語る際にしばしば引用されるものです。

斉同一性の原理は同調圧力と混同されがちですが、同調圧力は多数決の場面でも起こりますので、微妙にニュアンスが異なる用語です。

同調圧力に関しては以下の記事で詳しく説明がなされていますので、「同調圧力なにそれ?」という方はまずはそちらをお読みいただいたほうがよいです。あわせて、同調圧力とセットで語られることが多い、バンドワゴン効果についての記事も載せておきます。

なお、自然科学において使われる「自然の斉一性」とは意味が異なるので注意しましょう。

「自然の斉一性」を簡単に説明すると、「自然界の現象は秩序があり、同じ条件下では同じ現象が繰り返す」ということです。

例えば、昨日も今日もずっと太陽が東からのぼるのであれば、明日も太陽が東からのぼると考えるということです。

2.『十二人の怒れる男』と陪審員制度の問題点を心理学で解き明かす

斉一性の原理を語る際に必ずといっていいほど引用される『十二人の怒れる男』について、斉一性の原理の観点から見ていきましょう。

『十二人の怒れる男』は、1957年にアメリカで公開された法廷ドラマ映画です。

簡単なあらすじを以下に記しました。

  • 父親殺しの少年の裁判が行われた。
  • 十二人の陪審員のうち、陪審員八番の一人を除いて全員が有罪を主張した。
  • 状況証拠は多数で、少年は犯罪歴があった。また、社会的な地位も低かった。
  • 容疑を固める証拠ばかりが提出された。
  • 陪審員八番は捜査の違法性、先入観の問題などを指摘し、固定観念を捨てて事件を再検証するように働きかける。
  • 陪審員八番の熱意によって、周囲に変化が起き、無罪を勝ち取るまでの物語。

物語は、陪審員たちが時間をかけて議論を続ける中で、自分たちの偏見や先入観を克服し、真実を明らかにしていく姿が描かれます。

この映画は、人々が自分自身の考え方を客観的に見つめ直し、議論によって新たな気づきを得ることの重要性を訴えるとともに、陪審員たちの内面にある複雑な感情や人間性を描き、高い評価を得ています。

さて、この映画によってどのような問題が浮き彫りになったのでしょうか。関連する心理現象を紹介します。

①偏見や先入観に基づいた判断

陪審員の中には、被告人の外見や人種、社会的地位、過去の犯罪歴などに基づいて、先入観を持った者がいました。

このような認知のゆがみを認知バイアスといいます。先入観による認知バイアスの一つに、ハロー効果というものがあります。

以下の記事は3分もかからずに読むことができますので、ハロー効果を知らない方はこちらを流し読みしてから本記事に戻ってきてください。特に自分の評価の低さに悩んでいる方は読んで欲しいです。

②グループシンク・同調圧力

多数派の陪審員たちは、議論をするうちに一致団結していきました。これは、グループシンク(集団思考)と呼ばれる現象で、少数派の意見が無視され、多数派の意見が優位になってしまう同調圧力を引き起こすことがあります。

グループシンク、同調圧力については以下の記事で詳しく解説しています。

③メディアの影響

陪審員たちの中には、新聞やテレビなどのメディアからの情報に基づいて、事実と異なる判断を下そうとする者がいました。

メディアの影響力は陪審員制度にしばしば悪い影響を及ぼします。

メディアの心理的影響を考えるにあたって、バンドワゴン効果の理解は必須です。また、権威に屈して倫理的に問題のある行動をとる人々の心理を浮き彫りにしたミルグラム実験に関しての記事を以下に紹介します。

斉一性の原理は、全員一致が求められる場面で、適切な議論がなされぬまま、特定の方向に導かれてしまう心理現象のことでした。

そこには、認知バイアスの影響が見え隠れします。

なお、斉一性の原理が働くときには「自薦の用心棒」の存在が必ずあります。

「自薦の用心棒」をざっくりと説明すると、反論・異論を唱えるものを潰す存在です。集団心理が働く場合に「自薦の用心棒」が存在すると非常に厄介です。

議論に強くなりたい人は、「自薦の用心棒」についても理解をしておくとよいでしょう。

以上、斉一性の原理についてでした。

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