
アフォーダンス理論って何?
仕事や日常生活に取り入れられる心理学の理論はないかな?
そんなあなたに向けた記事です。
冒頭の写真の〇囲みを見て何を感じるでしょうか。
今回のアフォーダンス理論の記事を読んだ後、再び冒頭の写真を見てみてください。
きっと、あなたの解釈が変わっているはずです。
また、アフォーダンス理論は、ビジネスや教育に取り入れることができます。
アフォーダンス理論の応用についても記事にしていますので、ぜひ最後まで読んでください。
✔本記事のテーマ
【行動を予測!】アフォーダンス理論とは?意味や応用例をわかりやすく解説【心理学】
✔本記事でわかること
1.アフォーダンス理論の意味
2.アフォーダンス理論のもう1つの意味
3.アフォーダンスを理解する上での注意点
4.アフォーダンス理論を理解していると役立つこと
5.ビジネスに役立たせることができるのか?
6.アフォーダンス理論を理解していないと困ること
1.アフォーダンス理論の意味

affordには、(ある物が便宜などを)与える、(資源などを)供給するなどの意味があります。
affordを由来としたアフォーダンス(affordance)理論は、心理学者であるジェームズ・J・ギブソンによって提唱された理論であり、環境がどのように人間の行動を形成するかを説明するために用いられます。
ここでのアフォーダンスとは、環境が提供する物理的・機能的特性によって、人間にとっての行動可能性が生じることを指します。
例えば、扉には「開けることができる」というアフォーダンスがあります。また、階段の前に立つと「上ることができる」というアフォーダンスが生じます。
アフォーダンス理論では、環境が提供するアフォーダンスが人間の行動を決定するという考え方が重要です。
つまり、人間は環境が提供するアフォーダンスに応じて行動することができるということです。
例えば、扉があれば開けることができるし、階段があれば上ることができるなどです。
2.アフォーダンス理論のもう1つの意味

また、アフォーダンス理論では、人間は環境の中で自分自身を位置づけ、自分の行動可能性を認識するという視点も重要です。
つまり、人間は自分がどのような環境にいるかを把握し、自分にとってのアフォーダンスを見つけ出して行動することができるということです。
少しわかりづらいと思うので、具体例をもとに説明します。
例えば椅子を例にとると、脚がついている、背もたれがついている、座部の中央にくぼみがあるなど、一目見れば「これは座るものだ」と想起することができます。
このように、アフォーダンスは「人間の行動を引き起こすためのデザイン、ヒント」とのよう使われることがあり、現在ではこちらの意味で使われることが多くなっています。
例えばスマホの電話アプリ。アイコンには電話が描かれています。アイコンを見ると、説明書を見なくても、「このボタンを押せば電話ができる」と想起することができます。
3.アフォーダンスを理解する上での注意点

①アフォーダンスは生物によって捉え方が異なる
例えば雑草。ウシにとっては「生きていくために必要な食事」という意味を持ちます。
しかし、人によっては「手入れが大変な邪魔なもの」という意味を持つかもしれません。
このように、アフォーダンスは絶対的なものではなく、生物によって捉え方が異なるということです。
つまり、アフォーダンスは個々の生物によって規定される環境の性質であるということです。
これは異なる生物種に限った話ではありません。
例えばケーキ。甘いものが好きな人にとっては「テンションが上がる食べ物」という意味を持つかもしれません。
しかし、ダイエットをしている人にとっては「ダイエットを挫折に導く悪魔的な食べ物」に思えます。
赤信号を危険と捉える人もいれば、急いで渡れるチャンスと捉える人もいるでしょう。
②アフォーダンスは行動を必ず引き起こすものではない
これは、上述の赤信号の例がそのまま当てはまります。
本来、赤信号は危険と捉えるべきものですが、信号無視という言葉がある通り、赤信号が「止まる」という行動を必ず引き起こすものではありません。
あくまでも赤信号は、人が止まる可能性があるものに過ぎないのです。
●●があれば▲▲するはずだ。
●●をしているはずなのに▲▲にならないのはおかしい。
このような発言をする人が時折、見受けられます。
すべてとは言いませんが、アフォーダンスの性質を理解していないケースの場合があり得るということを認識しておきましょう。
4.アフォーダンス理論を理解していると役立つこと

アフォーダンス理論を理解していることで、様々な利点が生じます。
①行動を解釈することができる。
アフォーダンス理論を理解することで、人間や動物の行動を解釈することができます。
例えば子供が突飛な行動をしたとき、部下が大きな失敗をしたとき、なぜそのような行動をとったのかを解釈できる場合があります。
②行動を予測することができる。
環境が提供するアフォーダンスに基づいて、人間や動物がどのように行動するかを予測することができます。
例えば上がる階段と下りる階段がある場合、人は上がる階段を選びやすいという傾向があります。
このように、環境によるアフォーダンスにどのようなものがあるのか、どういった行動を選択する傾向にあるのかといったことを考えることで、人間や動物の行動を予測することができます。
③行動を改善することができる。
アフォーダンス理論を理解することで、環境が提供するアフォーダンスが人間の行動にどのような影響を与えるかを理解することができます。
そのため、環境を改善することで、人々の行動を改善することができます。
例えば、道路の安全性を向上させるために、歩道や横断歩道を設置すればよいということです。
5.ビジネスに役立たせることができるのか?

アフォーダンス理論への理解は、ビジネスにおいても役に立ちます。
以下は、とりわけマーケティングに応用させやすい事例を紹介します。
ここからの話を応用することで、日常の業務にも活かすことができるはずです。
例えば会議資料など、より視覚効果に優れ、より感情に訴えるものに改善することができるようになるでしょう。
また、家具の配置や動線など、日常の生活にも応用することができるはずです。
①ユーザーインターフェースの設計
アフォーダンス理論を応用して、ユーザーインターフェースの設計に取り入れることができます。
ユーザーインターフェースには、それが提供するアフォーダンスがあります。
例えば、ボタンには「押す」というアフォーダンスがあります。
ユーザーインターフェースの設計においては、ユーザーが直感的に理解できるアフォーダンスを取り入れることで、ユーザーの使いやすさを向上させることができます。
②マーケティング戦略への応用
アフォーダンス理論を応用して、製品のマーケティング戦略を立てることができます。
製品の提供するアフォーダンスに基づいて、製品の使い方や特徴を説明することで、製品の魅力を伝えることができます。
例えば、ある自動車が「速い」というアフォーダンスを提供している場合、その自動車が速いことを強調することで、製品の魅力を伝えることができます。
③デザイン性・機能性の向上
製品デザインにおいては、製品が提供するアフォーダンスに基づいたデザインをすることが重要です。
例えば、ハンマーの場合、「打つ」というアフォーダンスに合わせて、ハンマーの頭部を重くすることで、打つ力を増すことができます。
このように、製品の使い方に合わせたデザインをすることで、製品の使いやすさを向上させることができます。
6.アフォーダンス理論を理解していないと困ること

アフォーダンス理論を理解していないことで様々な場面で困る瞬間があります。
①製品やサービスの設計上の問題
製品やサービスを設計する際に、アフォーダンスを考慮しないと、ユーザーが本来期待する行動が取りづらくなることがあります。
例えば、スマートフォンアプリを開発する際に、ユーザーが期待するボタンの配置やアイコンの形状、タップの感度などを無視すると、ユーザーが使いづらいと感じてアプリの利用率が下がってしまいます。
②安全上の問題
アフォーダンスを理解していないと、危険な行動を取る可能性があります。
例えば、道路標識が持つアフォーダンスを理解していないがために、誤った行動をとって事故を引き起こすことがあります。
また、子供が信号機の赤・青・黄色の色彩がどのような意味を持つかを理解していなかったために、交通事故に巻き込まれてしまったという例もあります。
③コミュニケーション上の問題
コミュニケーションの分野では、アフォーダンス理論を理解していない場合、相手に伝えたいことが上手く伝わらない場合があります。
例えば、相手にとって聞き取りにくい話し方をしてしまうと、伝えたいことが相手に届かず、誤解を招いてしまうかもしれません。
とりわけ、ビジュアルコミュニケーションの場合に、デザインが見にくかったり、色使いが相手にとって見づらかったりする場合、伝えたいことが上手く伝わらず、真意が伝わらないかもしれません。
年齢、性別、人種により、アフォーダンスの解釈が大きく異なります。
それゆえ、アフォーダンス理論への不理解が、コミュニケーション上の問題を引き起こすことにつなががってしまうのです。
④教育上の問題
教育現場において、アフォーダンス理論を理解していないと、適切な指導が行えない可能性があります。
例えば、小学校の授業において、教科書中の問題が子供たちにとって十分なアフォーダンスを持っているかどうかを考慮しないと、子供たちが問題の意図を理解することができない可能性があります。
授業が下手な先生は、アフォーダンスの解釈が低い可能性が高いです。
説明の際の言葉が難しすぎる、板書が視覚に訴えない、授業レベルの設定が合っていないなど、理由は様々です。
また、生徒が使いにくい机や椅子を使っていると、疲れやすくなって授業中に集中力が散漫になる可能性があります。
これも、机や椅子が持つアフォーダンスへの不理解が原因と言えるでしょう。
以上、アフォーダンス理論についてでした。
アフォーダンス理論は、環境と人間の相互作用に着目し、人間の行動を説明する理論として重要な位置を占めています。
もし参考になる部分がありましたら、日常に取り入れてみてください。
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