ピグマリオン効果とホーソン効果・プラセボ効果・ハロー効果の違いは?
用語の意味や具体例を交えて解説して欲しい。
そんなあなたに向けた記事です。
ピグマリオン効果とホーソン効果・プラセボ効果・ハロー効果は、共通点もあれば全く異なる要素もあります。
けっこう混同してしまっている人が多いのではないかと思いましたので、一気に違いや共通点がわかる記事を作成してみました。
5分ちょっとで読めるようにできる限り簡潔にまとめました。ぜひ最後までお付き合いください。
✔本記事のテーマ
ピグマリオン効果とホーソン効果・プラセボ効果・ハロー効果の違いや共通点を一気に解説!
✔本気でわかること
ピグマリオン効果とは/ホーソン効果・プラセボ効果・ハロー効果の用語解説と具体例/ピグマリオン効果との違いと共通点
ピグマリオン効果とホーソン効果・プラセボ効果・ハロー効果
1.ピグマリオン効果とは?
ピグマリオン効果とは、他者の期待によって成果が向上する現象です。この効果は、指導者が対象者に対して高い期待を抱き、それを相手に伝えることで実現されることが多いです。
例えば、教師が生徒の可能性を信じ、「やればできる」「君にはできる」と生徒に伝えることで、生徒のやる気や自己効力感などが向上します。
また、生徒が教師の期待に応えるためにより一層の努力をし、これにより通常以上の成果を出す傾向があります。
言い換えれば、他人からの信頼や期待が個人のパフォーマンスに影響を及ぼすという心理現象です。
また、指導者が対象者を信じることで指導がより熱心になり、結果的に相手のパフォーマンスが向上するという側面もあります。
したがって、対象者への期待が偽りのものであったり表面的なものであったりする場合、ピグマリオン効果の効力は弱まるばかりか、相手に不信感や不快感を与えるおそれがあるので注意が必要です。
ピグマリオン効果の詳細や応用例などを知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ピグマリオン効果の欠点や批判、注意点などを知りたい方は以下の記事をご覧ください。
2.ホーソン効果との違い
①ホーソン効果とは?
ホーソン効果は、特別な扱いを受けることで生産性が向上する現象を指します。これは、自分が関心を持たれたり重要視されたりすることで意欲が高まり、結果的に良い成果を出すというものです。
例えば職場で、上司に声を掛けられる回数が多いほど仕事のモチベーションが上がる、表彰など評価対象の仕事はモチベーションが上がるなどがホーソン効果によるものです。
また、疲れているマラソンランナーが観客の前で急に勢いづく、サッカーでホーム戦のときは選手が張り切るなどもホーソン効果が働いています。
②違い
ピグマリオン効果は他者の「期待」によって成果に影響が出るのに対し、ホーソン効果は他者の「注目」や「関心」によって成果に影響が出るという違いがあります。
しかし、「期待」と「注目」「関心」は人によっては同じような意味を成すため、2つの効果に大きな違いがあるとは言えません。
ただし、期待をする側の立場に大きな違いがあります。
ピグマリオン効果は、教師と生徒、親と子供、上司と部下といったように、指導する立場のものが対象者に対して期待をします。
一方でホーソン効果には、このようは上下関係に制約を受けません。
例えばある教師が生徒に注目した場合は、ピグマリオン効果とホーソン効果の両方が生じることがありますが、生徒が生徒に注目した場合はホーソン効果のみが生じるということです。
③共通点
2つの効果の共通点は、他人からの期待や信頼が良い結果を生むという心理的な影響です。
ピグマリオン効果は指導者からの期待、ホーソン効果は周囲の人間からの期待によってパフォーマンスに好影響が生じます。
3.プラセボ効果との違い
①プラセボ効果とは?
思い込みによって病気や怪我が治るというものです。プラシーボ効果ともいいます。
薬効が全くない偽薬を効果があると患者に信じ込ませて投与すると、病状が良くなることがあるというような現象で、元々は医療現場で使われていた言葉です。
同じ薬を高価であると信じ込ませたグループと安価であると信じ込ませたグループに投与した場合で、効果に顕著な差が現れたという実験もあります。
「痛いの痛いの飛んでけ~」は、プラセボ効果をねらったものです。「病は気から」も、プラセボ効果に関連した言葉であると言えるでしょう。
②違い
ピグマリオン効果は他者の期待が個人のパフォーマンスに影響を及ぼす効果で、プラセボ効果は思い込みによる期待が心や体に影響を及ぼす効果です。
ピグマリオン効果では他者が期待しているのに対し、プラセボ効果は自分が期待している点が大きな違いです。
また、プラセボ効果は期待の根拠が真実である必要は無いという点があります。
ピグマリオン効果では期待が真実ではない場合、効果は望めません。
③共通点
2つの効果の共通点は、心理的な要素が結果に影響を与えるという点です。どちらの効果も、人の信じ込みや期待が現実に影響を及ぼし、良い結果を生むことがあります。
ただし、信じ込む人が他者なのか自分なのかという大きな違いがあります。
4.ハロー効果との違い
①ハロー効果とは?
ハロー効果とは、一部の特徴で全体の評価をしてしまう心理現象です。
「顔がかっこいいから性格も良い」のようにポジティブなものや、「服装がだらしないから家事ができない」のようにネガティブなものもあります。
また、髪がボサボサの人がいたとします。
この人が「東大生」だった場合は「ボサボサ頭が研究者のようで賢そうな人」と評価が下されるかもしれません。
この人が「無職」だった場合は「ボサボサ頭で自己統制のできないだらしない人」と評価が下されるかもしれません。
このように、最初の印象によって評価が変わるという側面もあります。
②違い
ピグマリオン効果は他者の期待によって成果が向上する心理効果で、ハロー効果は一部の評価が全体の評価に影響を与える心理効果です。
つまり、大きく意味合いが異なります。
また、ピグマリオン効果は期待による効果が未来で現れるのに対し、ハロー効果は一部の評価で現在の全体評価をするというように、時間軸に大きな違いがあります。
さらに、ハロー効果は事実誤認をしている場合があります。例えば先ほどの無職の人の例だと、「ボサボサ頭「と「自己統制のできない」ということに直接的な因果関係はありません。
もしかすると病気で一時的に仕事をしていなくて、体調不良の問題で頭髪を整える余裕がないだけかもしれません。
③共通点
2つの効果とも認知バイアスに関する心理効果です。
認知バイアスとは、直観や先入観によって判断が歪められるという心理現象です。
ピグマリオン効果では、指導者の無意識な期待が対象者への指導に影響を与えます。つまり、指導者の無意識的な認知バイアスが生じます。
ハロー効果では、一部の評価によって因果関係のない部分まで評価をしてしまうという認知バイアスが生じます。
5.ピグマリオン効果との違いまとめ
①ピグマリオン効果とホーソン効果
- ピグマリオン効果…他者の期待が影響する。上下関係がある。
- ホーソン効果…周囲の関心や注目が影響する。上下関係の制約がない。
②ピグマリオン効果とプラセボ効果
- ピグマリオン効果…他者の期待が影響する。他者の期待が嘘である場合は効果が望めない。
- プラセボ効果…自分の期待(思い込み)が影響する。期待の根拠が嘘でも効果が望める。
③ピグマリオン効果とハロー効果
- ピグマリオン効果…他者の期待によって相手の成果が変わる。未来視点。
- ハロー効果…他者の一部の印象で全体を評価する。現在視点。事実誤認の場合あり。
今回は以上です。
コメント