動物が登場する実験や心理効果を知りたい。
動物心理学や動物行動学に関連する話を知りたい。
そんなあなたに向けた記事です。
心理学に関連する動物を用いた有名な実験や心理効果は、かなりの数を網羅できていると思います。
一部社会科学や動物行動学などの話もふくまれます。
それぞれ詳細記事も載せておきますので、興味があるものがあればそちらもぜひご覧ください。
✔本記事のテーマ
【動物心理学】動物が登場する心理学の実験・効果など12選【動物行動学】
✔本記事でわかること
パブロフの犬、ソーンダイクの猫の問題箱実験、スキナー箱のネズミ実験、ケーラーのチンパンジー実験、トールマンのネズミ迷路実験、シロクマ効果、ラットパーク、セリグマンの犬への電気ショック実験、ゴリラのバスケットボールテスト、賢馬ハンス、ハーロウの代理母実験、コブラ効果
それではさっそく紹介していきます。目次を開けば興味ある内容まで飛んでいけます!
面白い心理学・動物編
1.パブロフの犬
- 登場する動物:犬
- 関連ワード:古典的条件付け、アーノルド坊やの実験、無条件反射など
帝政ロシア・ソビエト連邦の生理学者イワン・パブロフによって行われた実験です。
犬にエサを与えるときに鈴の音を聞かせ続けると、犬は鈴の音を聞いただけでよだれを垂らすようになりました。
このような反応を条件反射といいます。パブロフの犬の実験は、古典的条件付けに関連する最も有名な実験です。
2.ソーンダイクの猫の問題箱実験
- 登場する動物:猫
- 関連ワード:試行錯誤学習、オペラント条件付けなど
紐を引くと扉が開く仕掛けがある箱の中に入れられた猫が、箱を噛んだり引っかいたりするなどの無駄な行動を経て、やがて紐を引く行動をするようになります。
このように、試行錯誤を通じた学習方法を試行錯誤学習といいます。
ソーンダイクによるこれらの研究は、スキナーのオペラント条件付けの理論にも影響を与えました。
3.スキナー箱のネズミ実験
- 登場する動物:ネズミ
- 関連ワード:オペラント条件付けなど
特定のレバーを引くとえさが出てくるスキナー箱という実験装置の中で、ネズミの行動を観察した実験です。
スキナーはこの実験によって、動物が報酬を得るために行動を変化させることや、刺激と行動の結びつきが学習に影響を与えることを示しました。
スキナーはオペラント条件付けという学習理論を体系化した、20世紀で最も有名な心理学者の一人です。
4.ケーラーのチンパンジー実験
- 登場する動物:チンパンジー
- 関連ワード:洞察学習、ゲシュタルト心理学など
ゲシュタルト心理学の創設者の一人である、ドイツの心理学者ヴォルフガング・ケーラーによって行われた実験です。
天井から吊るされたバナナをとるために、箱を積み重ねてよじ登ったり棒を使ってひもをたぐり寄せたりと、チンパンジーは工夫します。
チンパンジーによって示されたひらめきが伴う学習を、洞察学習といいます。
ケーラーは従来の試行錯誤学習と対比する形で、洞察学習を提唱しました。
5.トールマンのネズミ迷路実験
- 登場する動物:ネズミ
- 関連ワード:潜在学習、認知地図、サインゲシュタルト説など
ある複雑な迷路でゴールになかなかうまく向かわなかったネズミが、ゴールをエサに置くとゴールに向かうようになったという実験です。
ネズミは報酬を与えられない時期に潜在学習し、ゴールにこそ向かわなかったが周辺地図を描いていたということがわかりました。
この実験はトールマンのサインゲシュタルト説に関連するものです。
サインゲシュタルト説とは、部分から全体が予測され、行動に変化が起きるという考えです。
6.シロクマ効果
- 登場する動物:シロクマ
- 関連ワード:皮肉過程理論、カリギュラ効果、ストライサンド効果など
動物映像を利用した実験です。
シロクマの映像を「忘れるな」と言われたグループより「忘れろ」と言われたグループの方がむしろ映像を詳細に覚えていたという実験です。
このような現象をシロクマ効果といい、アメリカの心理学者であるダニエル・ウェグナーはシロクマ効果の説明のために、皮肉過程理論を考案しました。
皮肉過程理論とは、ある物事を考えないように努力すればするほど、かえってその物事が頭から離れなくなるという現象を説明するための理論です。
7.ラットパークの実験
- 登場する動物:ネズミ
- 関連ワード:薬物依存など
1970年代後半に行われた薬物依存の原因を調査した実験です。
悪い環境のラットはどれだけ苦くてもモルヒネ入りの水を好み、良い環境のラットはどれだけ砂糖を入れて甘くしても、モルヒネ入りの水は決して飲まないことが実験によってわかりました。
この実験は、麻薬への依存は麻薬そのものによって引き起こされるのではなく、環境によって引き起こされるということを確かめるために行われました。
8.セリグマンの犬への電気ショック実験
- 登場する動物:犬
- 関連ワード:学習性無力感など
犬に電気ショックを与えるという、現代では問題視されるような実験です。
電気ショックを与えられた犬のうち、どうやっても回避できない状況に置かれた犬は、その後回避できる状況に置かれても電気ショックから逃げようとしなかったという結果が得られました。
動物や人間が無力感を覚えることで行動をあきらめてしまうという現象を、学習性無力感といいます。
9.ゴリラのバスケットボールテスト
- 登場する動物:ゴリラ(の着ぐるみ)
- 関連ワード:非注意性盲目、選択的注意、カクテルパーティー効果
ゴリラの着ぐるみが登場する映像実験です。
白いシャツのチームと黒いシャツのチームがそれぞれ混合し、チーム内でひたすらパスをする映像が流れます。
テストでは白いシャツのチームのパスの回数を数えるように命令されます。
実験の途中、ゴリラが堂々と登場するのですが、白い物に注目したがために注意が削がれ、そのゴリラに気づかないといった実験です。
注意を向けた対象以外の情報に気づかないことを非注意性盲目といい、手品でも用いられる代表的な心理学のテクニックです。
10.賢馬ハンス
- 登場する動物:馬
- 関連ワード:賢い馬、クレバーハンス効果、実験者効果など
賢馬ハンスとは、19世紀末のドイツで人気になった、計算ができるとされた馬のことです。
計算結果を足踏みの回数で示すというものでしたが、実際は正解に近づいた時の飼い主や観客の緊張を読み取って正解を得るというものでした。
このように、動物が周囲の人間の様子に影響を受けて行動を変化させてしまう現象を、クレバーハンス効果といいます。
麻薬犬が警察官の表情に影響を受けて反応してしまい、冤罪を引き起こしてしまったという事例があります。
11.ハーロウの代理母実験
- 登場する動物:サル
- 関連ワード:愛着理論、ストレンジ・シチュエーション法など
母親から隔離をしたアカゲザルの近くに、授乳機能のある針金製の模型と布製の模型を置きました。
するとアカゲザルの赤ちゃんは、乳を飲むとき以外の多くの時間を布製の模型と過ごしたという結果が得られました。
この実験により、愛着の形成には乳を飲むという生理的欲求の充足だけでは不十分で、母親のスキンシップなどによる安心感が必要であることが示されました。
なお、この実験は精神を病んだアカゲザルが多数出たことから、倫理的に問題視される実験の代表です。
12.コブラ効果
- 登場する動物:コブラ
- 関連ワード:意図せざる結果など
「意図せざる結果」という社会科学全般で使われる考え方に関連する用語です。
イギリス植民地時代のインドで、人害を起こすコブラ対策として、コブラを持ち込めば報酬を与えるとしました。
結果、報酬目的でコブラを繁殖する者たちがあらわれ、むしろコブラの数が増えてしまったというものです。
今回はここまでです。
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