【やる気】アンダーマイニング効果とエンハンシング効果の違いとは?【モチベ】

心理学の応用
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知りたガリお
知りたガリお

アンダーマイニング効果について詳しく知りたい。
エンハンシング効果との違いは?
デシの自己決定理論を簡単に知りたい。

そんなあなたに向けた記事です。

アンダーマイニング効果を中心に、関連する心理学用語を一気に学べるように工夫して記事を書きました。

本記事を読むことで、モチベーションが失われる要因やその対策を理解することができます

ぜひ最後までお付き合いください。

✔本記事のテーマ

【やる気】アンダーマイニング効果とエンハンシング効果の違いとは?【モチベ】

✔本記事でわかること
  • アンダーマイニング効果と自己決定理論やエンハンシング効果との関連
    【アンダーマイニング効果/内発的動機づけ・外発的動機づけと自己決定理論/自己原因性/エンハンシング効果】

アンダーマイニング効果と自己決定理論やエンハンシング効果との関連

1.アンダーマイニング効果とは?

ある子供が知的好奇心によって勉強をしていた。親がその姿を見て、褒美を与えた。

するとその子供の知的好奇心が失われ、勉強をしなくなってしまった。

以降、褒美がなければ勉強をしないようになってしまった。

このような心理現象をアンダーマイニング効果といいます。

アンダーマイニング効果とは、内発的動機づけによる行為に対して、報酬を与えるなどの外発的動機づけを行うことによって、モチベーションが下がるという心理効果のことです。

報酬を受けた結果、報酬を受け取ることが目的となり、内発的動機づけが失われることを指します。その性質から抑制効果ということもあります。

内発的動機づけとは、楽しいという気持ちや知的好奇心のように、欲求を満たす対象が内部にあるものを指します。自分の感情に関わるもので、その人の価値観によって対象が異なります。

外発的動機づけとは、おやつやお小遣いなどの報酬のことで、欲求を満たす対象が外部から与えられるものです。ルールや罰則などもこれに当たります。

例えば自由に勉強をしていた子供が、ルールに縛られたりペナルティを課されたりすることで、やる気がなくなってしまうことがあります。

【内発的動機づけ】

  • 面白い、好き、楽しいなどの気持ち、知的好奇心、達成感、満足感、やりがい、探求心など
  • 欲求を満たす対象が内部にある、価値観で異なる、自己決定

【外発的動機づけ】

  • おやつなどの褒美、お金などの報酬、褒められる、怒られる、他者からの評価、ルールなど強制力のある環境、ミスに対する罰則、締め切り、行動の監視、競争環境など
  • 欲求を満たす対象が外部から与えられる

2.デシの自己決定理論とは?

1970年代、動機づけなどを研究していたアメリカの心理学者であるエドワード・L・デシは、リチャード・ M・ライアンとともに自己決定理論を提唱しました。

自己決定理論は、外発的動機づけと内発的動機づけの関係を理論化したものです。

それまでのモチベーション理論は、報酬と罰など外発的動機づけによってモチベーションコントロールをするという考えが主流でした。

報酬があればモチベーションが上がる。報酬がなければモチベーションが下がる。

罰を与えれば努力する。罰がなくなれば怠ける。

このように考えられていました。

それに対してデシは、報酬や罰などの外発的動機づけを与えると、モチベーションが下がり、努力をしなくなる

自己決定による内発的動機づけがモチベーションに好影響を与えると考えたのです。

当時はアメとムチによる労働者管理や教育が主流であったため、当然、デシは反発を受けることになります。

3.デシとレッパーの「ソマ・パズル」実験

エドワード・L・デシとマーク・R・レッパーが1969年に行った関連実験を紹介します。

この実験は、当時人気だったソマ・パズルという立体型のパズルが用いられました。ソマ・パズルは知育教育によく使われるパズルです。

実験は以下のように行われました。

  • 被験者にパズルを解かせる。
  • その後、被験者を2つのグループに分ける。
  • グループ1…パズルを解くと、報酬として1ドルがもらえる。
  • グループ2…パズルを解いても報酬は無い。
  • 自由時間を与えたときの行動を観察する。

結果は以下のようになりました。

  • 報酬がもらえるグループはパズルに取り組む時間が短かった。
  • 報酬が無いグループはパズルに取り組む時間が長かった。

この結果から、デシらは次のように考えました。

  • 報酬(外発的動機づけ)が与えられることで、パズルを解くモチベーションが下がった。
  • 一度、報酬が与えられると、報酬が与えられない条件ではパズルを積極的に取り組まなくなる。

これに関連して、心理学者リチャード・ドシャームは以下のような「自己原因性」という概念を提唱しています。

  • 自分の行動を自分で決定しているときは内発的動機づけが行われる。
  • 自分の行動を他者から統制されているときは外発的動機づけが行われる。

4.エンハンシング効果とは?

それでは、外発的動機づけは望ましくないものなのでしょうか。

これに関して、外発的動機づけの良い側面に注目したエンハンシング効果というものがあります。

エンハンシング効果とは、外発的動機づけによって内発的動機づけを高められる心理効果のことです。

褒められてモチベーションが上がる、賞を目指して頑張るといったように、外発的動機付けによって行動を促すプラスの効果のことです。

その性質から、賞賛効果とも呼ばれることもあります。

5.アンダーマイング効果の対策

外発的動機づけによりモチベーションが下がるというアンダーマイニング効果の対策はあるのでしょうか。

これには、前述のエンハンシング効果がヒントになります。

①強制力を感じさせない

他人から強制されていると感じさせないことが重要です。

簡単な目標から設定をする、ゲーム感覚で取り組ませるなどの工夫も重要です。

②外発的動機づけの種類を変える

例えばお金による報酬がモチベーションにならない場合、現金以外の報酬を与えることが考えられます。

言葉で褒める、表彰するなどです。子供の場合、トロフィーやお花などが良いかもしれません。

モチベーションの動機づけとなるものは人によって様々です。その人にあった動機づけの方法を考えることが重要です。

罰則が苦手な相手であれば「これをしなかったら罰が与えられる」から「これをしたら良いことがある」といった具合に、言葉を変換する工夫もよいでしょう。

以上、相手のモチベーションを上げる参考になりましたら幸いです。

モチベーションに関する心理効果として、ピグマリオン効果とゴーレム効果も合わせてチェックしてみてください。今回は以上です!

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