【認知地図と潜在学習】トールマンのネズミ迷路実験とは?【動物心理学】

心理学の応用
この記事は約5分で読めます。
知りたガリお
知りたガリお

動物心理学の有名な実験を知りたい。
トールマンのサインゲシュタルト説や認知地図、潜在学習について知りたい。
S-R理論、S-R-O理論、S-S理論の違いがわからない。

そんなあなたに向けた記事です。

今回はトールマンを語る上で外せない心理学用語を、できるだけたくさん一気に紹介していきます。

難しい内容もあると思いますが、できる限りかみ砕いて説明します。用語はたくさん登場しますが、5分あれば全部理解できると思いますので、ぜひ、最後までお付き合いください。

✔本記事のテーマ

【認知地図と潜在学習】トールマンのネズミ迷路実験とは?【動物心理学】

✔本記事でわかること

【トールマン関連キーワード】新行動主義/ネズミの迷路実験/潜在学習/認知地図/サイン・ゲシュタルト説/S-S理論、S-R理論、S-R-O理論

トールマンに関連するキーワードを一気に解説!

1.エドワード・トールマンと新行動主義

エドワード・トールマンは、新行動主義の代表的な心理学者です。

従来の行動は、刺激(Stimulate)と反応(Response)の単純な結びつきで考えられていました。

例えば、エサを見ると動物が近づいてくる場合、エサという刺激と近づくという反応が結びついたと考えました。

このような行動に対する考え方を、S-R理論といいます。しかし、この考え方ではどうしても説明できないようなことがいくつもあったのです。

みなさん、好きな食べ物はありますか?

私はラーメンが好きなので、ラーメンをもとに説明します。

私はラーメンが好きなので、ラーメンを見るとテンションが上がります。ラーメンという刺激によって、テンションが上がるという反応が引き起こされました。

しかし、風邪をこじらせて体調が悪いとき、ラーメンを見るだけで不快な感情が湧き起こります。

S-R理論に基づけば、ラーメンを見ればテンションが上がるはずです。

このように、S-R理論によって説明できない行動はいくつもあるのです。

話を新行動主義に戻します。

新行動主義では、行動を刺激(S)と反応(R)のシンプルな結びつきと見なすのではなく、生活体(Organism)が刺激と反応に影響を与えると考えました

つまり、刺激と反応の間に媒介変数としての「O」を与えるというS-O-R理論を主張した学派が、新行動主義です。

なお、現代心理学の主流である認知心理学は、ゲシュタルト心理学の流れを汲む分野であり、新行動主義心理学の発展形とされています。

トールマンの考えはゲシュタルト心理学と親和性が高く、新行動主義の代表的心理学者であることから、トールマンは認知心理学の先駆者の一人とされています。

以下、ゲシュタルト心理学に関係するチンパンジーを用いた有名な心理学の実験を紹介します。猿人類が洞察学習を行うことを、従来の試行錯誤学習と対比する形で発見したケーラーの功績を記しています。興味がありましたら、ぜひ読んでみてください。

2.トールマンの行った実験とサイン・ゲシュタルト説

トールマンといえばネズミを用いた実験が有名です。

自身の著書の扉部分に「この本をネズミに捧げる」と記すほど、ネズミを用いた実験に傾倒していたことで知られています。

トールマンが行った実験を簡単にまとめます。

  • ある迷路において、ネズミをゴールまで走らせる訓練を行った。
  • 迷路は数多くのドアがある分岐点を持ち、分岐点を一度通ると後戻りはできない仕組みだった。
  • あるネズミ群を10日間、エサを与えることなくゴールまで走らせる訓練をしたが、正しくゴールへ向かうことが少なかった。
  • しかし、11日目以降、ゴールにエサを置くようにしたところ、ネズミはゴールに正しく向かうように変わっていった。

この実験により、ネズミは報酬がない学習期に周辺地図を作っていたと考えられます。

そして、一たびエサという目的が与えられると、周辺地図を頼りにゴールへと向かう行動を行ったのです。

この行動を説明するためには、潜在学習、S-S理論、サイン・ゲシュタルト説、認知地図について説明しなくてはなりません。ここから訳分からない説明が続きますが、数行先でわかりやすくまとめますから、頑張ってついてきてください(笑)

潜在学習とは、報酬がないときに潜在的に行われていた学習が、報酬が与えられることで顕在化するという学習形態のことです。

S-S理論とは、手段(Sign)が目的(Significate)と結びつく関係のことです。

そして、S-S理論に基づく、手段と目的が結びつくような学習の考え方をサイン・ゲシュタルト説といいます。

サイン・ゲシュタルト説では、部分(サイン)から全体(ゲシュタルト)が予測され、行動に変化が起きると考えます

さらに、サイン・ゲシュタルト説によって成り立つ環境を認知地図といいます。

たくさん用語が出てきてわかりづらいですね。

改めてトールマンの実験をもとに、かなり単純化して説明してみます。

  • エサが与えられない時期にネズミは認知地図を作っていた。
  • エサが与えられると、ゴールに向かうという手段とエサを得るという目的が結びつき、ネズミはゴールを目指すようになった。
  • このとき、ネズミは潜在的に学習していた認知地図を頼りにゴールを目指した。
  • このことから、行動は刺激と反応の単純な結びつきではなく、手段と目的が結びつくS-S理論で説明できる。
  • このようなトールマンが用いた考え方を、サイン・ゲシュタルト説という。

今回は以上です!

以下、学習に関連する心理学の記事です。あわせてチェックしてみてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました