【ホーソン実験】生産性に大きく影響を与える要因はやはり●●●●だった!

心理学の応用
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知りたガリお
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ホーソン実験とは?ホーソン効果とは?
ピグマリオン効果やゴーレム効果との関連は?
とにかく生産性を向上したい!

そんなあなたに向けた記事です。

労働者の生産性に影響を与えるものはなんでしょうか?

職場環境でしょうか。休憩時間でしょうか。

実は、これらの物理的な条件ではなく、労働者を取り巻く人間関係や個人の来歴のほうが生産性に大きく影響をおよぼすことがわかりました。今回はそんなお話。

部下を持つ、生徒を持つ、子供を持つ立場の人にぜひ読んで欲しい記事です。

心理現象をたくさん知ることで、生産性の向上や人間関係の構築にお役立てください!

✔本記事のテーマ

【ホーソン実験】生産性に大きく影響を与える要因はやはり●●●●だった!

✔本記事でわかること
  • ホーソン実験とホーソン効果
    【実験概要/4つのホーソン実験/ホーソン効果/ピグマリオン効果との違い】

ホーソン実験とホーソン効果

①ホーソン実験の概要

ホーソン実験とは、1924年から1932年にかけて行われた生産性向上に関する一連の実験です。

この実験はアメリカのウェスタン・エレクトリック社のホーソン工場で実施されたことから、ホーソン実験と呼ばれています。

ホーソン実験の背景には、1920年代のアメリカの経済状況とフレデリック・テイラーが提唱した科学的管理法の限界があります。

当時のアメリカは第一次世界大戦後の好景気で、自動車産業などの生産が拡大していました。この時期、企業は生産性の向上を迫られており、科学的管理法が主流でした。

しかし、テイラーの方法では生産効率をさらに向上させることが難しくなってきていました。このような背景から、ウェスタン・エレクトリック社では新たなアプローチを模索するためにホーソン実験が開始されたのです。

ホーソン実験には様々な心理学者が参加しました。最初の1年間はマサチューセッツ工科大学のメンバーが実験を実施していましたが、後にハーバード大学の心理学者エルトン・メイヨーや経営学者のフリッツ・レスリスバーガーらも加わりました。彼らは労働環境や人間関係などの要素が生産性に与える影響を調査し、新たな管理法の提案に取り組みました。

科学的管理法とは?

科学的管理法は、労働者の生産性を向上させるために、フレデリック・テイラーによって提唱された管理手法で、仕事の分析と合理化、タスクの標準化、労働者の訓練と選抜、報酬体系の設計などを通じて効率的な作業方法の確立を目指しました。科学的管理法は、労働者の能力を最大限に引き出し、生産性を向上させるという目的を持っています。しかし、労働者の意欲や人間性の側面を無視しているとの批判もあります。現代の組織では、科学的管理法の原則を取り入れつつも、人間中心のアプローチや働き方改革にも注力する傾向があります。

②ホーソン実験の詳細

ホーソン実験は以下の4つの実験からなります。

1.証明実験(1924~1927年)

照明の明るさを変えながら作業を行い、生産性の変化を測定しました。

照明を一定の明るさに保つ、あるいは照明をだんだん明るくした場合、生産性の向上が確認されました。

また、生産性の向上を確認後、照明を暗くしても、やはり、生産性は向上しました。

2.継電器組み立て実験(1927~1929年)

継電器の組み立て作業を行う労働者グループを対象に、作業部屋の温度や湿度、労働日数や休憩時間を変化させて作業の生産性を調べました。

このとき、作業員の要望を聞きながら、物理的な条件を少しずつ変化させました。

結果、労働条件がどのように変化しても生産性は向上しました。

さらに、好条件をすべて排除しても生産性の向上が確認されました。

証明実験と継電器組み立て実験は、物理的な労働条件が生産性に与える影響を調べるものでしたが、結果的に物理的な労働条件の変化とは無関係に生産性が向上することがわかりました。

3.面接実験(1928~1930年)

これまでの実験から、メイヨーらは生産性に影響を与えるのは物理的な労働条件ではなく、人間関係や個人の感情であるという仮説を立てました。

そこで、2万人超の従業員に不平不満の聞き取り調査を行いました。結果、労働意欲は個人的な来歴や職場での人間関係に大きく左右され、労働者の行為は個人の感情から切り離すことができないことがわかりました。

4.バンク巻取り実験(1931~1932年)

職種の異なる労働者をグループとして、電話交換機の配線作業を行い、共同作業の成果を測定しました。

結果、上司と部下のようなフォーマルな関係より、グループ内でのインフォーマルな関係のほうが、労働者の生産性に影響を与えることが分かりました。

③ホーソン効果とは? ピグマリオン効果との違いは?

労働者の生産性には、職場の環境や休憩時間といった物理的な労働条件が関係していると考えられていました。

しかし、ホーソン実験によって、人間関係など労働者の感情に結びつく要因が生産性に大きく影響を与えることがわかりました。

ホーソン効果は、良好な人間関係などにより生産性が向上する現象を指します。これは、自分が重要視され、関与感を持つことで意欲が高まり、結果的に良い成果を出すというものです。

関連する心理現象にピグマリオン効果というものがあります。ピグマリオン効果とは、他者の高い期待によりパフォーマンスが上がり、結果的に自己実現がなされる心理効果のことです。ホーソン効果は「環境」により、ピグマリオン効果は「期待」によりパフォーマンスが上がるというのが意味の違いです。

ピグマリオン効果とは反対に、ある人に対して周囲が低い期待を持つと、その人は周囲の低い期待通り低いパフォーマンスを発揮してしまう。このような心理現象をゴーレム効果といいます。

どちらも労働者の生産性に関わる重要な心理学の現象なので、くわしく知らない方は以下の記事をご参照ください。

今回は以上です!

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