【偽の合意効果とは?】なぜ人は自分が正しいと思ってしまうのか。

心理学の応用
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知りたガリお
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偽の合意効果(フォールス・コンセンサス効果)とは?
意味や例、原因や対策を知りたい。

そんなあなたに向けた記事です。

あなたの周りにもいませんか?自分の考えが正しいと信じて疑わない迷惑な人間が。

もしかして、偽の合意効果が発生しているかもしれません。

このような認知の歪みを矯正するのは至難の業です。せめて自分だけはそういう迷惑な人間にならないようにしたいものです。

認知バイアスの話が出てくるのでけっこう難しい内容かもしれません。なので、具体例や簡潔なまとめなどを心がけました。

ぜひ最後までお付き合いください。

ところで、心理学って小難しくてわかりづらいと思いませんか? 多くの人がそう感じていると思いませんか?

イエスの場合、すでに偽の合意効果が発生しています

✔本記事のテーマ

【偽の合意効果とは?】なぜ人は自分が正しいと思ってしまうのか。

✔本記事でわかること
  • 偽の合意効果とは?
    【意味と例/関連実験/認知バイアス(帰属バイアス、自己奉仕バイアス、利用可能性ヒューリスティック)】

偽の合意効果とは?

①偽の合意効果の意味

偽の合意効果(フォールス・コンセンサス効果)とは、自分の考え方を他人に投影する傾向です。

私たちは、自分の意見や信念が一般的で正しいと思い込み、例えその意見が誤りであるとわかったとしても、「自分の判断は正しかった、同じ状況なら他の人も同じ判断をしたはずだ」と考える傾向があるのです。

このため、偽の合意効果は『総意誤認効果』と呼ばれることもあります。

②偽の合意効果の例

偽の合意効果は日常生活のさまざまな場面で生じます。例えば、以下のようなケースが考えられます。

  • 自分の経験則が正しいと思い、若者にお説教をしてしまう。若者は「何言ってるの、このおっさん」と思っている。
  • 自分が子供のときアンパンマンが好きだった。だから子供にアンパンマンのおもちゃをたくさん買っていたが、子供は内心、ポケモンのおもちゃが欲しいと思っていた。
  • 仕事でメールやLINEで報告するのは無礼だと思っている。電話で報告するのが常識だろと信じて疑わない。
  • 「普通に考えて●●でしょ」という発言をしてしまう。周囲の人は「それってあなたの感想ですよね」と思っている。
  • 自分の感覚で発言した誉め言葉が、相手にとってパワハラやセクハラに捉えられ、傷つけてしまう。
  • 思い入れのある商品がまったく売れなかった。むしろ適当につくった商品のほうが良く売れた。
  • お客様のためにと思った行動がまったくお客様の望みではなく、クレームになった。
  • 心理学は難しいし、わかりづらい。「みんなもそう思ってるでしょ?」と考えている。

このように、自分の考えが「一般的」「普通」「正しい」「多数派」「他者と同じ」であると考える傾向が、偽の合意効果の特徴です。

周りは「押しつけがましい」「根拠ないだろ」と思っていても、本人は「よかれと思っている」「正論と思っている」など、認知の歪みが生じていることがほとんどです。

なお、冒頭の心理学の例だと、心理学を難しいと思うことが偽の合意効果ではありません。

「自分が難しいと思うからみんなもそう思っている」というような、ショートカットのような考え方が偽の合意効果なのです。

ちなみに私は、心理学は難しく感じています。言葉の意味を正確にとらえるのがなかなか大変です。

だから、みんなもそう感じているだろうとは私も思います。これを推測、あるいは仮説と捉えるのならば偽の合意効果は発生しません。

しかし、自分も思っているからみんなもそうだと、自分の考えを一般化するような短絡的な思考をするとき、偽の合意効果が発生しているということです。

偽の合意効果が生じると極端な思考に偏りがちです。極端な思考をする人間の心理について書いた記事をいくつか紹介しますので、気になるものがあれば読んでみてください。

③サンドイッチマンの実験

社会心理学者のロス・リーによる、偽の合意効果に関する実験を紹介します。

  • ある大学で学生たちに「サンドイッチマンのように広告看板を身につけてキャンパス内を歩いて欲しい」と依頼し、同意か拒否か回答を求める。
  • 同時に「他の学生に依頼した場合、彼らが同意するか拒否するか」回答してもらう。
  • 結果、依頼を同意した生徒の62%は他の学生も同意すると回答、依頼を拒否した生徒の67%は他の学生も拒否すると回答しました。

この実験により、行動選択の状況で偽の同意効果がはたらく可能性が示されました。

④偽の合意効果が生じる理由

偽の合意効果が生じる理由は、認知バイアスに関連しています。認知バイアスとは、物事の判断が、直感や経験則による先入観によって非合理的になる心理現象のことを指します。

認知バイアスの中で特に、利用可能性バイアス(利用可能性ヒューリスティック)バイアスと自己奉仕バイアスが、偽の合意効果と関係しているとされています。

利用可能性バイアス

利用可能性バイアスは、私たちが判断や推論をする際に、手元にある情報を重視してしまう傾向です。

つまり、自分の意見や経験が手元にある場合、それを他の人々の意見や経験に当てはめることを容易にしてしまうということです。

これが偽の合意効果を生む要因の一つです。

自己奉仕バイアス

自己奉仕バイアスは、帰属バイアスの一つです。

帰属バイアスは認知バイアスの一つで、他人の行動や出来事に対して原因や理由を解釈する際に生じる認知的な傾向を指します。

人々は他人の行動を説明する際に、特定の要因や特性を強調したり、一般化したりする傾向があります。

このバイアスは、他人の行動を理解しようとする際に情報処理を簡略化することで生じます。

そして自己奉仕バイアスとは、自分自身を肯定するために情報を解釈したり、記憶したりする傾向のことです。

簡単に説明すると、自己奉仕バイアスは、成功は自分の手柄にし、失敗の責任を取らない人間の一般的傾向を表しています。

それはまた、曖昧な情報を都合の良いように解釈しようとする傾向ともいえます。

例えば、自分が多数派であると信じることで、自尊心や自分の価値を保つことができます。

このバイアスが偽の合意効果を生み出すもう一つの要因となります。

⑤偽の合意効果の問題点と解決策

偽の合意効果にはいくつかの問題点が存在します。問題点を洗い出し、その解決策を講じていきます。

問題点
  • 他の人々が自分と同じように考えていると思い込むことで、異なる意見を受け入れにくくなる。これによって、意思決定や対話の質が低下し、争いや対立が生じる可能性がある。
  • 実際には多様な意見やニーズが存在するにも関わらず、特定の意見が主流として押し付けられる場合がある。

意見が偏る、少数派の意見が無視される、異なる意見への創造性が乏しくなるなどが問題点として挙げられます。

解決策
  • 認知バイアスに対する自己啓発を行う。まずは自己奉仕バイアスや利用可能性ヒューリスティックによって偽の合意効果が生じることを知り、自分が偽の合意効果を引き起こしていないか客観的に見つめる。自分の意見を客観的に評価し、他の人々の意見を尊重する柔軟性を持つことが重要。
  • 対話やコミュニケーションにおいては、異なる意見や視点を積極的に受け入れる姿勢を持つことが必要。他の人々の意見や経験に耳を傾け、共感し、相互理解を深める努力をすることで、偽の合意効果を減らし、より建設的な対話や協力関係を築くことができる。
  • 情報の多様性を重視することも重要。情報の入手源を幅広くし、異なる意見や視点を適切に取り入れることで、偽の合意効果による誤った判断を避けることができる。メディアの情報に対しても批判的な思考を持ち、バイアスの影響を受けにくい情報を選ぶことが重要。
  • グループや組織の中での意思決定プロセスにおいては、異なる意見を積極的に取り入れる仕組みを構築することが必要。意見の多様性を尊重し、異なる意見を発信しやすい環境を作ることで、偽の合意効果を軽減することができる。

つまり、偽の合意効果を正しく理解する、自分を客観視する、異なる意見を積極的に取り入れる仕組みを構築する、情報の入手方法を見直すなどが対策となります。

偽の合意効果は日常でも容易に起きる現象で、私たちの意思決定に影響を及ぼす強力なバイアスです。

自己啓発や他者との対話を通じ、まずは自己の認知バイアスに気づくことが対策のスタートになります。

そして、認知の歪みを修正する努力を継続することが重要です。自分の意見や信念に疑問を持ち、常に学び続ける姿勢を持つことで、偽の合意効果を克服することができます。

具体例でも示した通り、偽の合意効果が生じている状況は、はたから見ると迷惑であり滑稽なことがあります。裸の王様ように思われてしまうかもしれません。

そうならないように、まずは個人レベルから対策していきましょう。自分だけはそうならないようにしましょうということです。

今回は以上です!

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