【泥棒洞窟実験から学ぶ】集団間葛藤の解消における上位目標の力【面白い心理学】

心理学の応用
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知りたガリお
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面白い心理学の実験を知りたい!
泥棒洞窟実験とは?
集団間葛藤とは?

そんなあなたに向けた記事です。

あまり有名な実験ではありませんが、人間関係の問題を解消するため重要な内容になっていますので、ぜひ最後までお付き合いください。

✔本記事のテーマ

【泥棒洞窟実験から学ぶ】集団間葛藤の解消における上位目標の力【面白い心理学】

✔本記事でわかること
  • 泥棒洞窟実験とは?
    【実験概要/集団間葛藤と上位目標/教訓】

泥棒洞窟実験とは?

泥棒洞窟実験は集団間葛藤に関する興味深い実験です。

まずは集団間葛藤について説明します。

①集団間葛藤とは?

集団間葛藤とは、人々が所属する集団には肯定的な感情を抱き、他の集団には否定的な感情を抱く心理現象です。

これらの葛藤は、個々のグループが自己のアイデンティティや利益を守るために行動することから生じます。

集団間葛藤はしばしば敵意や偏見、差別などの問題を引き起こします。

②泥棒洞窟実験とは?

泥棒洞窟実験は、集団間葛藤に関連する社会心理学の実験です。

この実験は、1954年にオクラホマ州の州立公園にある「泥棒洞窟」と呼ばれるキャンプ場で行われました。

実験の目的は、集団間の対立がどのように形成され、解消されるかを理解することでした。

泥棒洞窟実験は、3つの段階からなり、集団内の結束力と敵対心の形成、そして上位目標の導入を通じて集団間葛藤の解消を試みました

③泥棒実験の3つの段階

泥棒洞窟実験は3週間にわたって行われました。実験には10代前半の少年たち20数名が参加し、2つのグループに分けられました。

第一段階:仲間意識の形成

最初の段階では、各グループは互いの存在を知らず、仲間意識を形成するためにキャンプ場での共同生活を送りました。

ハイキングなどの活動を通じて、少年たちは1週間ほどをかけて結束力を高めました。

第二段階:集団間葛藤の形成

第二段階では相手グループの存在を知らされ、対抗試合を通じて対立心や敵対心を強めました。野球や綱引きなどの競技で対戦し、勝利に執着しました。

実験による調査では、少年たちは自分のグループを最優先とし、自分たちのグループを他のグループよりも優れていると見なすようになりました。相手グループに対する否定的なステレオタイプや偏見も形成されました。

この段階では、集団間葛藤が高まっていきました。

第三段階:上位目標の導入と集団間葛藤の解消

第三段階として集団間の交流が試みられました。しかし、集団同士の接触は逆効果であり、残飯の投げ合いや罵声の浴びせ合いなどのトラブルが発生しました。

この結果から、集団間の葛藤を解決するためには、単なる交流だけではなく、両グループが協力しないと達成できないような上位目標が必要であることが示されました。

そして、第三段階での上位目標として、故障した飲料水貯蔵タンクの修理と立ち往生した水を運び上げるトラックの救出が設定されました。

これらは水不足が絡んだ死活問題であり、両グループが協力しなければ解決できませんでした。

この上位目標への挑戦を通じて、少年たちは集団間葛藤を克服し、協力と連帯感を醸成することができました。

結果として、少年たちは困難な状況に直面しながらも協力し、目標達成に成功しました。この経験により、集団間の対立や偏見が和らぎ、相互理解と共同作業の重要性が浮き彫りになりました。

上位目標を達成した後の調査で、参加者たちが相手集団に対して好意的に評価する割合が飛躍的に向上していることがわかりました。互いに協力し、困難を乗り越えた経験は、信頼と絆の形成につながったのです。

④泥棒実験から得られる教訓とまとめ

この実験から明らかになった教訓は、敵対している集団同士の対立を解消するためには、時に集団同士の交流ではなく、上位目標による協力の方が効果的であるということです。

集団が共通の目標に向かって協力することで、対立が解消され、お互いに協力的な関係を築くことができるのです。

なぜ上位目標の導入が集団対立の解消に有効なのでしょうか?

それは、上位目標が集団の注意とエネルギーを集中させ、自己中心的な行動や対立を超えた協力の必要性を強調するからです。

集団は、自己の利益だけでなく、共通の目標のために行動することの重要性を実感し始めます。

さらに、上位目標を達成するためには、集団同士が連携し、情報を共有し、意見を交換する必要があります。

これにより、相互理解が生まれ、対立の解消に向けたコミュニケーションが進むのです。

実際に、泥棒洞窟実験では、集団同士の接触による交流は逆効果であり、上位目標に基づく協力こそが解決の鍵となりました。

この教訓は、現実の社会においても応用できる価値があります。

対立している集団やコミュニティが協力を求める共通の目標を設定することで、敵対関係や対立を克服する可能性が高まります。

例えば、地域の水源問題や環境保護活動など、課題に対して共同で取り組むことが重要です。

繰り返しになりますが、泥棒洞窟実験から学ぶ教訓は明確です

集団間の対立を解消するには、集団同士が協力しなければならない上位目標の導入が効果的であるということです。

集団が共通の目標に向かって協力し、困難を乗り越えることで、お互いを理解し信頼する関係が築けるのです。

私たちは、この実験を通じて、対立と協力の力について新たな知見を得ることができました。

集団間の葛藤が解消され、協力が生まれることで、より良い社会への道を切り拓くことができるでしょう。



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