コンコルド効果とは?
意味や例を知りたい!
ソシャゲや恋愛で生じる可能性があるってほんと?
そんなあなたに向けた記事です。
まずは以下のコメントを見てみましょう。
あの男最悪だわ。でも10年も付き合っているのよ。
なんだか10年間が無駄になる気がして、なかなか別れられないのよ。
ジャグラー(パチスロの名機)で1000回転もはまってしまった。
う~ん、ここでやめたらもったいないぞ。そろそろ当たるはずだ。続行だ!
典型的なコンコルド効果が発生している例です。
今回はコンコルド効果について、様々な例を示しながら対策を講じていきます。
5~6分で読めますので、最後までお付き合いください。
✔本記事のテーマ
【コンコルド効果とは?】投資、ギャンブル、ソシャゲ、恋愛で生じる損失拡大の罠
✔本記事でわかること
- コンコルド効果とは?
【意味/由来/例/対策/認知バイアスなど】
コンコルド効果とは?
1.コンコルド効果(埋没費用効果)の意味
コンコルド効果とは、埋没費用効果の別名です。
埋没費用とは、これまでに投下した費用や労力のうち、回収できない費用のことを指します。
埋没費用は英語で「sunk cost」と表すので、サンクコストということもあります。
埋没費用には金銭的、時間的、精神的な費用のすべてがふくまれます。
例えばあるプロジェクトに投資した場合、かかった費用、時間、努力が埋没費用となります。
埋没費用効果は、経済学や心理学において用いられる概念で、人々が過去の埋没費用に基づいて意思決定をする傾向を指します。
具体的には、過去に投資した費用が大きい場合、人々はその費用を回収しようとする傾向があります。これにより、合理的な判断や最適な意思決定から逸脱することがあります。
例えば、映画のチケットを購入したが、映画がつまらなかった場合を考えてみましょう。
埋没費用効果が働くと、購入したチケット代を回収しようとして、映画を最後まで見ようとするかもしれません。
合理的な意思決定では、映画がつまらないと分かった時点で映画を見るのをやめるべきですが、埋没費用効果によって、過去の投資を無駄にしないために見続けるという判断が生じることがあります。
この効果は、経済的な合理性と感情的な要素の間の葛藤が意思決定に影響を与えます。
埋没費用効果を克服するためには、過去の費用や投資に固執するのではなく、現在の状況や将来の見通しに基づいて判断することが重要です。
なお、日本では埋没費用効果よりコンコルド効果の方がなじみが深いため、ここからはコンコルド効果として説明します。
2.コンコルド効果の由来
コンコルド効果の名称は超音速旅客機コンコルドの商業的失敗を由来とします。
コンコルド旅客機は、フランスとイギリスの共同開発で生み出された超音速旅客機でした。しかし、コンコルドは開発や運用に膨大な費用がかかりました。また、燃費が悪く乗客数も少ないこともあり、完成後も収益性に問題がありました。
コンコルド効果が関与したのは、開発段階から旅客機の設計や製造に多額の費用が投資されたことです。この大きな投資により、開発チームや関係者は成功を追い求め、既に投資された費用を回収しようとする傾向が生じました。
その結果、コンコルドの事業は収益性に苦しむ中で継続され、運用され続けました。
しかし、コンコルドは高い運用コストや燃料消費量、超音速飛行に伴う騒音などの問題に直面しました。
こうした問題が発生したにもかかわらず、埋没費用効果により、既に投資された費用を回収しようとする傾向があったため、さらなる事業継続が決定されました。
しかし、2000年に発生したコンコルドの墜落事故により信頼性が低下し、さらに2001年のアメリカ同時多発テロ事件による航空需要全体が低迷する事態となりました。
これによるコンコルドへの需要の低下やさらなる運用コストの増加により、コンコルドの経済的な持続性が崩れ、2003年に最終便が運航された後、コンコルドの運用は終了しました。
この例は、埋没費用効果によって過去の投資に固執し、合理的な判断から逸脱することがあることを示しています。経済的な成功や合理性に反しても、既に投資された巨額の費用によって、プロジェクトや事業を継続する誘惑が生じることがあるのです。
そしてこの例は埋没費用効果を語る上での代表的な事例となり、日本ではコンコルド効果の名称が一般的となりました。
3.コンコルド効果の例10選
以下、代表的な例を10個示します。
映画館の例や、行列、交通遅延、無駄なプロジェクト、投資やギャンブル、課金型ゲームや使えない商品など様々です。
恋愛でのコンコルド効果の例も示しました。
- 映画館でチケット代がもったいないからつまらない映画を見続けてしまう。結果、時間が無駄となる。
- 人気店や人気アトラクションに並ぶのが苦痛に思えてきたが、ここまで並んだ時間を無駄にしないために並び続ける。結果、時間をさらに失う。
- 交通渋滞に巻き込まれたときに道を変えようとしない。人身事故が発生しないときに路線を変えようとしないのも同様。結果、さらに多くの時間を失う。
- 失敗の兆候が見られるプロジェクトを続行してしまう。結果、資源、人材などのリソースを消費してしまう。また、新たなプロジェクトへの機会損失となる。
- 株式投資などで多額の損失が出ているにも関わらずいつか回復すると思って損切をしない。結果、損失が拡大する。
- パチスロではまっているとき、当たるまでやり続ける。結果、時間と金銭をさらに失う。
- 使わない製品を持ち続ける。結果、保管場所を無駄にする。また、使わない製品の管理に無駄な時間を費やす。
- 効果が出ないエステ、ダイエット食品を使い続ける。結果、時間と金銭をさらに失う。
- 課金型ゲームに飽きたけど今までの課金がもったいないからだらだらと続ける。結果、さらなる課金額と時間を無駄にする。
- 彼氏と合わない。でもこれまでの時間を考えると別れられない。結果、時間と新たな出会いの機会を失う。
4.コンコルド効果を分析
映画館の例をもとに、さらにコンコルド効果を分析します。
映画は120分の映画で、料金は2000円とします。
①映画がつまらない場合
10分で映画がつまらないと感じたとします。
この時点での埋没費用は、10分と2000円です。
この映画を見続けた場合、損失が50分増えます。
この映画を見なかった場合、別のことをする時間が110分増えるため、こちらの方が合理的です。
②チケットをなくした場合
映画をどうしても見たい場合、さらに2000円を支払う必要があります。
2000円をさらに支払うと、合計金額は4000円です。
したがって、この映画に4000円の価値があるのかと考えてしまうかもしれませんが、これは合理的ではありません。
なぜなら、映画の価値が2000円であることに変わりはないからです。
この場合、チケット紛失分の埋没費用2000円を切り離して考える、つまりゼロベースで考えるのが合理的です。
5.コンコルド効果への対策5選
最後に、コンコルド効果への対策を5つ説明します。
①損切する
回収困難な場合は、潔く損切することが重要です。この判断をするためには、次の②と③が重要になります。
②限度を定める
コンコルド効果が発生する原因は、取り返そうとする心理状態です。
損失がここまで拡大してしまったら回収困難と判断するというように、限度をあらかじめ定めておくことが重要です。
③試算する
このままの状況が続いた場合、最終的に損失がいくらになるか試算することが重要です。
また、ここまでの損失額を明らかにし、回収見込みなども試算しておく必要があります。
④第三者に評価してもらう
コンコルド効果が生じているとき、認知のゆがみが発生していることがあります。
コンコルド事業の例では投資額の回収が不可能であることがわかっていましたが、根拠なく回収の展望が持たれていました。
つまり、コンコルド効果が発生しているときは冷静な判断ができない可能性が高いということです。
そこで、客観的な判断をする存在が重要になってきます。
⑤ゼロベースで考える
埋没費用を判断から切り離すというように、ゼロベースで考えることが重要です。
これが最も重要と言えるでしょう。なぜなら、ゼロベースで考えるときはコンコルド効果が発生しないからです。
埋没費用が大きければ大きいほど、コンコルド効果は大きくなり、さらに損失を被ることにつながります。
ここまでの内容をしっかりと理解し、冷静な判断を心がけましょう。
今回は以上です!
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