
攻撃的な人の特徴は?
いじめと攻撃性の関係は?
社会的排除の意味を知りたい。
そんなあなたに向けた記事です。
2002年、アメリカ連邦教育省とシークレット・サービス局が1974年~2000年に起きた学校襲撃事件の加害者41名の実態調査を行いました。
その調査により、8割におよぶ加害者が過去にいじめ被害を受けていたことがわかりました。
一つ前のブログ記事『【攻撃的な人】攻撃手がかりと敵意帰属バイアスとは?【怒りやすい人の特徴】』で、人が攻撃行動に走るメカニズムとしての攻撃手がかりと、怒りやすい人の特徴としての敵意帰属バイアスについて解説しました。また、怒りやすい人は自己肯定感が低い傾向にあることも論じました。
今回はその続きとして、攻撃的になりやすい人の特徴を解説していきます。
前述の通り、社会的排除をされた人は、攻撃的になる傾向があるとの研究結果があります。
社会的排除は心理学用語ではありませんが、心理学と親和性の高い用語であるため、心理学のカテゴリーとして解説していきます。
後半では、社会的排除の関連として、同調圧力、グループシンク(集団浅慮)、ミルグラム効果といった心理現象について解説します。
本記事を読むことで、様々な心理効果、心理現象を知ることができます。ぜひ、最後までお付き合いください。
✔本記事のテーマ
【攻撃的な人の特徴】社会的排除による疎外感が与える影響とは?【いじめが原因?】
✔本記事でわかること
- 社会的排除による疎外感が攻撃性に与える影響
【社会的排除と社会的包摂/トゥエンギの実験/同調圧力、グループシンク(集団浅慮)、ミルグラム効果との関連】
社会的排除による疎外感が攻撃性に与える影響

①社会的排除と社会的包摂
今回の記事では、社会的排除という言葉が飛び交いますので、まずは意味を説明します。あわせて、社会的排除の反対語である社会的包摂という言葉の意味も説明します。
社会的排除は、個人または集団が何らかの原因によって社会から排除されている状態を指します。
社会的排除は、1970年代にフランスで生まれ、1980年代以降のヨーロッパでにおいて、社会問題を議論する上で注目が集まった概念です。
社会的排除は、経済的な要因、人種や民族、性別、障害、年齢などが原因で発生することがあります。
これにより、排除された人々は社会的なつながりに制限を受け、諸活動に制約が生じます。
本記事においては、人間関係からの排除という意味合いで社会的排除という用語を用います。
例えば、いじめや仲間外れなどを社会的排除の一例とします。この場合、社会的排除により強い疎外感が生じます。
なお、社会的排除の反対語として、社会的包摂という言葉があります。
社会的包摂は、社会的に弱い立場にある人々を含め、全ての市民を排除や摩擦、孤独や孤立から守り、支えていくという考え方です。
②トゥエンギの実験
『自己愛過剰社会』の著者であるサンディエゴ州立大学のトゥエンギー教授は、社会的排除に関連する実験を行っています。
トゥエンギーは、いじめなどにより人間関係から疎外された人と攻撃行動との関連性を調査しました。
※実験内容は『眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学』を参考にしています。
【実験内容】
- 4〜6人の初対面の学生を集め、15分ほど会話をさせる。
- 各参加者に個別にアンケートを行い、「一緒に課題を行いたいと思う人物」を2名挙げてもらう。
- 参加者を受容条件グループと拒否条件グループに分ける。
受容条件グループ…「グループ全員から一緒に課題を行いたい人物に選ばれた」と伝える。
拒否条件グループ…「誰からも選ばれなかった」と伝える。
※実際のアンケートとは無関係に、ランダムに2つのグループに分けた。 - グループ分けとは無関係な相手と、勝利すると相手のヘッドホンに不快なノイズを流す嫌がらせができるゲームを行う。
- ノイズの強さと時間の測定を行い、攻撃性の度合いを評価する。
【実験結果】
- 拒否条件の参加者は受容条件の参加者に比べ、相手に流すノイズの強さが1.4倍、長さが2倍であった。
【実験からわかること】
- 社会的排除によって、高い攻撃性が生じた。
③社会的排除と関連がある心理現象
社会的排除に関連がある心理現象に、同調圧力、グループシンク(集団浅慮)、ミルグラム効果の3つが挙げられます。
同調圧力とは、社会的な状況において、他人の意見や行動に合わせようとする心理的な圧力のことを指します。
グループシンクとは、集団で合意を行った結果、合理性に欠く意思決定がなされることを指します。
ミルグラム効果とは、権威的なものに服従してしまう心理効果のことを指します。
ミルグラム効果としては、ミルグラム(アイヒマン)実験があります。関連するスタンフォード監獄実験とともに、心理学の実験ではトップレベルで有名な実験です。
いじめなどの社会的排除は、集団行動の悪い例です。そこには、同調圧力やグループシンクなどの心理現象が働いていることがあります。
また、いじめを扇動する者がいた場合、ミルグラム効果が働いていることがあります。
これらの心理効果は社会的排除を引き起こす、つまりいじめを起こす人間を生み出す原因になり得ます。
また、ミルグラム効果については、攻撃性を引き起こす側面もあるので、疎外感を感じた人間が攻撃性を高めることを助長する側面もあると言えます。
今回は、社会的排除を切り口に、攻撃性が高まる原因やいじめの原因などを、心理効果を交えながら解説しました。
ある事象が起きたとき、原因は一つではなく、様々なものが複雑に絡み合うことが多いです。
関連記事を読むことで理解が深まると思いますので、気になるものがあればぜひ読んでみてください。
今回は以上です!
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