学習性無力感って何?
面白い心理学の実験を知りたい。
職場や家庭での悩みを解決できる心理学を知りたい。
そんなあなたに向けた記事です。今回は3~4分で読めますので、ぜひ最後までお付き合いください。
✔本記事のテーマ
【学習性無力感とは?】セリグマンの犬への電気ショック実験【面白い心理学】
✔本記事でわかること
- 学習性無力感とは?
【セリグマンの実験/学習性無力感の例と対策】
学習性無力感とは?
学習性無力感とは、動物や人間が、自分たちの行動が結果に影響を与えないと感じたときに、無力感を覚え、その行動をあきらめてしまう現象です。
往々にして、努力をしてもストレスを回避することができない状況で学習性無力感が生じます。
「やっても無駄だ……」というあきらめの状態です。
学習性無力感は1967年にマーティン・セリグマンによって行われた実験によって提唱されました。
①セリグマンの実験
セリグマンが行った実験は以下の通りです。
- 2匹の犬を2つの部屋に入れる。ここではAとBとする。
- 部屋の床には周期的に電流が流れ、犬に電気ショックが与えられる。
- どちらの部屋にもボタンがあり、Aの部屋のボタンは押すと電流が止まる。Bの部屋のボタンは押しても電流は止まらない。
※Aの部屋の犬は「ボタンを押せば電流が止まる」と学習し、Bの部屋の犬は「ボタンを押しても意味がない」と学習する。 - その後、別の部屋に2匹の犬を移す。この部屋は仕切りで分けられていて、半分の床は電流が流れ、半分の床は電流が流れない。つまり、仕切りを飛び越えることで電気ショックを回避できる。
- Aの部屋の犬は仕切りを飛び越えることで電気ショックを回避した。
- Bの部屋の犬は仕切りを飛び越えれば電気ショックを回避できるのにも関わらず、仕切りを飛び越えるという努力をせず電気ショックをじっと受け続けた。
②学習性無力感の例と対策
学習性無力感の例をいくつか見ながら対策を考えていきます。
まずは以下のような例です。
- 試験に何度やっても合格できない。やがて学習のモチベーションが低下し、挫折する。
- スポーツや趣味など、どれだけ練習しても技術の向上が頭打ちとなる。
このような場合は、わずかな向上を見落とさないことが重要です。
もし向上が認められない場合は、モチベーションが下がる前に新しい勉強方法、練習方法などに切り替えましょう。
学習性無力感は、無駄だと学習することで無力感が生じます。そこで、無力感を生じさせないようにするために、努力を無駄だと思わない、思うならば早く方法を変えることが重要です。
仕事でも学習性無力感が生じる例はあります。
- 何度やっても仕事がうまくいかない。やがて自信がなくなり、チャレンジをしなくなる。チャレンジをしないと成果も下がり、ますます悪循環に陥る。
- 自分は頑張っているが給与などの見返りがないように感じる。頑張っても意味がないと思うようになる。
このような場合は、信頼できる上司や同僚に相談しましょう。
前者の例では、仕事の手順などを客観的に第三者に見てもらい、助言を求めるとよいでしょう。
後者の例では、評価者にアピールができていない、実は評価されているなどの可能性もあります。つまり、コミュニケーション不足による思い込みの可能性があり得るということも考えられます。なので、まずはコミュニケーションをとるようにしましょう。
一方、どうやってもうまくいく算段が立たない場合は、業務を変えてもらう、部署を変わる、職場を変えるなども検討してください。
大切なのは無力感が生じる前に、手を打つことです。
もしかするとあなたの能力ではなく、評価者の人間性に問題があるかもしれません。
逃げることを選択肢の一つとして持っておいてください。以下は職場で悩んでいる人向けの記事です。
また、しつけや教育が理由で学習性無力感が生じることもあります。
- 何をやっても親に怒られる。行き過ぎた躾により子供の好奇心が失われ、やがてあらたな取り組みをしなくなる。
- テストの点が悪い生徒を「できない生徒」と決めつけることでその生徒のパフォーマンスが下がり、さらに点が悪くなる、あるいは学習から目を背けるようになる。
このような状態に陥らないためには、親、教師、上司の立場の人が言動を改める必要があります。
以下の記事は、相手への評価がパフォーマンスに及ぼす影響などを書いています。参考にしてください。
また、学習性無力感に陥らないためには、自分の弱さを受け入れることも重要です。以下の記事を読むことでヒントが得られると思います。
今回は以上です!
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