【シロクマ効果】シロクマの事を絶対に考えないでください【面白い心理学実験】

心理学の応用
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知りたガリお
 

面白い心理学の実験を知りたい。
シロクマ実験、皮肉過程について知りたい。
シロクマ効果とカリギュラ効果やストライサンド効果との違いを知りたい。

そんなあなたに向けた記事です。5分もあれば読めますので最後までお付き合いください。

✔本記事のテーマ

【シロクマ効果】シロクマの事を絶対に考えないでください【面白い心理学実験】

✔本記事でわかること
  1. シロクマ実験とは?【実験概要/皮肉過程理論/連ゲーム】
  2. 似ている心理効果【カリギュラ効果/ストライサンド効果】
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1.シロクマ実験とは?

①シロクマ実験の概要

まずはシロクマ実験について、実験の概要をお伝えします。簡単にまとめると以下の通りです。

  • 実験参加者のグループを3つに分け、それぞれA~Cとする。
  • A~Cにシロクマに関する映像を見せる。
  • Aにはシロクマのことを絶対に忘れないように伝える。
  • Bにはシロクマのことを考えても考えなくてもどちらでもよいと伝える。
  • Cにはシロクマのことを絶対に考えないように伝える
  • 一定時間が経過後に映像の詳細を尋ねたところ、最も映像を覚えていたのはCだった

シロクマ実験において、シロクマのことを考えないようにしたCが最も映像の詳細を記憶していたという皮肉な結果になりました。

なぜ、このような結果になったのでしょうか?

②皮肉過程理論について

アメリカの心理学者であるダニエル・ウェグナーは、シロクマ実験におけるシロクマ効果についての説明のために、皮肉過程理論を考案しました。

皮肉過程理論とは、ある物事を考えないように努力すればするほど、その物事が頭から離れなくなり、より一層考えてしまうという心理現象を説明するための理論です。

シロクマ実験におけるCグループでは、シロクマのことを考えないという努力が、かえってシロクマのことが頭から離れなくなることにつながりました。

この現象をウェグナーは皮肉過程理論を用いて以下のように考えました。

  • 思考をコントロールする場合、実行過程と監視過程の2つが働く。
  • 実行過程は思考を行う過程である。シロクマ実験では「シロクマについて考えないでいよう」と思考すること。
  • 監視過程は自分が正しく思考をコントロールできているか監視する過程である。シロクマ実験では「シロクマについて考えていないか」監視すること。
  • Cグループは「シロクマについて考えていない」ことを監視するためには、「シロクマについて考えている」かどうかを考えなくてはいけなかった
    ※「シロクマについて考えていない」ことを決定するためには「シロクマについて考えている自分」を否定しなくてはいけません。つまり、その時点でシロクマについて考えてしまっていることになります。
  • 結果、シロクマについて考えてしまうことで、監視過程で「シロクマを考えてしまった自分」がエラーとして検出される。
  • これにより、さらに「シロクマについて考えていないか」という監視を強化しようとする。
  • 「シロクマについて考えていないか」という監視を強化すればするほど、かえってシロクマについて考えてしまうというジレンマに陥る

このような皮肉過程理論の考え方は、禁酒・禁煙の失敗の例にもあてはまります。

「お酒・煙草をやめるために考えないようにする」→「考えていないか監視する」→「かえって考えてしまう」→「余計気になり、禁酒・禁煙失敗」といった具合です。

「考えないようにする」ことを考えない。これが重要であることを示唆していると言えます。

③シロクマ効果に関連する心理ゲーム「ザ・ゲーム」

シロクマ効果に関連する心理ゲームで「ザ・ゲーム」というものがあります。

このゲームは、「ゲームについて考えない」ことが勝ちの条件で、「ゲームについて考えたら負け」というシンプルなものです。

お気づきと思いますが、このゲームで勝つことはできません。なぜなら、「ゲームについて考えない」ことを考えるためには、ゲームのことを考えなくてはいけないからです。

結果、このゲームの目的は自分が勝つことではなく、いかに負けの数を増やすのかといったゲームになります。ちなみにこのページを開いた時点で、皆様の負けが確定しました。

なお、「ザ・ゲーム」については挑戦的で面白いという評価と、無意味でくだらないミームのようなものであるとの評価で二分されています。

2.似ている心理効果

①カリギュラ効果

カリギュラ効果とは、禁止や制限をかけられると、逆にそのことに興味や欲求を持ってしまう心理現象のことを指します。

ダチョウ倶楽部の「押すなよ、絶対に押すなよ!」や、鶴の恩返しの「絶対に中を覗かないで下さい」などが典型です。

シロクマ効果は「考えたくないのに考えてしまう」、カリギュラ効果は「禁止されたことでかえってやりたくなる」という違いがあります。

似たような心理効果に思えますが、シロクマ効果が「やりたくないのにやってしまう」、カリギュラ効果が「かえってやりたくなる」なので、まったく異なる心理効果であると言えます。

さらに似たような心理傾向に、「心理的リアクタンス」というものがあります。カリギュラ効果と心理的リアクタンスは以下の記事でくわしく解説しています。

②ストライサンド効果

ストライサンド効果とは、ある情報を隠したり消去しようすることで、かえってその情報が拡散されてしまうという現象で、一部のインターネット・ミームのことを指します。

例えばインターネット上で載せてはいけない情報を載せてしまったとします。これを削除するとどうでしょう。

削除したという履歴が残ってしまいます。これを悪意ある第三者に発見された場合、「秘密がありましたよ」と宣言しているようなものです。

なお、ストライサンド効果はアメリカ人歌手であり女優であるバーブラ・ストライサンドに由来します。

2003年のこと、海岸線侵食を防ぐために海岸線を撮影してネット上に公開するというプロジェクトによって、バーブラ・ストライサンドの邸宅の写真が偶然ネット上に公開されてしまいました。

プライバシー侵害として公開差止と賠償金を要求する訴えを起こしたバーブラ・ストライサンドでしたが、敗訴してしまいました。

賠償金をもらえないどころか、訴訟のニュースによって話題を集め、かえって公開するサイトへのアクセスが増えてしまい、より多くの人間に自宅を晒す結果となってしまいました。

今回は以上です!

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