部下の成果が上がらない、子供の成績が悪すぎる…
ピグマリオン効果の逆の意味を持つゴーレム効果を人間関係に応用したい。
そんなあなたに向けた記事です。
部下の成果、子供の成績が上がらない。
それ、もしかするとゴーレム効果が生じているのかもしれません。
しかもあなたの言動が原因かもしれません。
今回は職場や家庭、教育の現場で生じやすいゴーレム効果についてのお話です。
✔本記事のテーマ
【マイナスの心理学】ゴーレム効果を理解しないと周囲の生産性が下がります。
✔本記事でわかること
- ゴーレム効果の意味、言葉の由来、実例、原因と対策、ピグマリオン効果やハロー効果との関連
ゴーレム効果とは?
ある人に対して周囲が高い期待を持つ。
するとその人は周囲の期待通り高いパフォーマンスを発揮する。
このよう心理現象をピグマリオン効果という。
その逆に、ある人に対して周囲が低い期待を持つ。
するとその人は周囲の低い期待通り低いパフォーマンスを発揮する。
このような心理現象をゴーレム効果という。
ゴーレムはヘブライ語で「未完成のもの」という意味で、ユダヤ人伝説において泥人形ゴーレムは意思を持たず主人の思い通りに動きます。
しかし、ゴーレムは額に書かれた文字のうちの一つを消すとくずれて死んでしまいます。
この様子を、ネガティブな言動によって人の能力が十分に発揮できなくなることに重ね、ゴーレム効果と名付けられました。
今回はそんなゴーレム効果について、いくつかの事例をもとに紹介していきます。
ゴーレム効果の実例
ここでは、ゴーレム効果に陥りやすい人の例をあげます。
ゴーレム効果をもたらすのは周囲、時には自分自身による低い期待です。
教師の期待が低い生徒、上司の期待が低い部下
ある教師が、ある生徒を「この子は勉強ができない」と決めつけた場合、その生徒は自信を失って勉強に取り組まなくなることがあります。
例えば、その教師が生徒に期待する成績が5段階中3だとすると、生徒はそれ以上の目標に合わせて努力することができず、3以下の成績を取る可能性が高くなります。
これは上司と部下の関係でも当てはまりますね。
職場においてもゴーレム効果は起きやすいので、部下を持つ上司は言動に注意が必要です。
職場環境に問題があると感じる人
例えば、業績が悪く、財政的な問題を抱えている会社があったとします。
この会社が「私たちはこの危機を乗り越えるために、みんなで協力して努力しよう」と話をする場合、従業員たちは自己肯定感を持って、モチベーションを保ちながら危機を乗り越えることができるかもしれません。
しかし、「私たちはこのままだと倒産してしまう」という話を従業員にした場合、従業員たちは自分達に原因があると感じた結果、自身の能力を過小評価し、モチベーションを失ってしまうかもしれません。
このように、職場環境に抱くマイナス印象によって、ゴーレム効果が生じるケースもあるのです。
自己肯定感が低い人
ゴーレム効果を自ら引き起こしてしまうケースもあります。
例えば職場の部下が「私は営業ができない」と思い込んでいる場合、その人は自分自身を過小評価をしてしまい、営業から逃げてしまうでしょう。
このように、自己肯定感が低いためにゴーレム効果が生じるケースもあります。
このような場合、過度なマイナスの思い込みを、周囲が前向きな言葉をかけることで取り除いてあげることが重要です。
以下、自己肯定感に関する記事を載せておきましたので、気になる記事があれば読んでみてください。
ゴーレム効果が起きる意外な現場とは?
ピグマリオン効果の逆の意味を持つゴーレム効果。
そもそもピグマリオン効果の実験が教育の現場で行われたことから、教育やビジネスの現場で用いられることが多い印象ですが、その他にも様々な場面で起こりうる心理現象です。
病気になって医療機関を訪れた場面で一例を示します。
医療の現場では、医師や看護師が患者に対して高い期待値を持って接することで、回復力が高まることがあるといわれます。
例えば、医師が「あなたは強い人ですから、治療を乗り越えることができるはずです」と話すことで、患者の自己肯定感が高まり、回復力が向上する可能性があります。
逆に、医師が「あなたは病気になりやすい体質だから、治療が長引くかもしれません」と話したらどうでしょう。
その患者の自己肯定感が低下し、回復力が低下してしまうかもしれません。
このように、ゴーレム効果はさまざまな場面で生じるおそれがあります。
誰かが低い期待をかけたとき、誰かがネガティブな言動を他者にしたとき、自分が自分を否定したとき、そのすべてがゴーレム効果が生じるケースであると思っておくとよいでしょう。
職場の成果を上げるために
さて、話をビジネスの現場に戻します。
自分の部下の成果が思うように上がらない。
このような場合、ゴーレム効果が生じている可能性を疑いましょう。
もちろん、部下の不注意、あるいは怠慢が低いことが原因かもしれません。
大切なのは様々な要因があるのだということを知り、一つずつ消去法によって原因を絞り、真の原因を特定することです。
そのために、心理現象をふくめてできる限り多くの要因をリストアップすることが必要です。
これは上司の立場ではなく部下の立場でも必要な考えです。
自分がどれだけ頑張っても成果が上がらない。
もしかしたら自分がゴーレム効果に陥っているのかもしれません。
そう考えることができれば、少しは気が楽になりパフォーマンスが向上するかもしれませんよ。
なぜなら、周囲の期待の低さによる自己肯定感の低下が原因なのですから。自分だけを責める必要がなくなるわけです。
「人間関係が悪い」という表現で原因を一くくりにしてしまうのは避けましょう。それは原因を特定しているとはいえません。
※他方で不十分なゴーレム効果への理解が、すべての原因を他者に結びつけてしまうことにつながるおそれがあることを、ここで指摘しておきます。
さて、今回はゴーレム効果についてでした。
ちょっとした言動が他者を良い方向に導くケースもあれば、その逆も然りということがご理解いただけたかと思います。
部下に後輩に、あるいはお子様に、皆様の周囲の方々に接する際の参考にしていただければ幸いです。
今回は以上です。
見た目と評価の関連性を知りたい方はハロー効果の記事を、生産性を上げる真の要因を知りたい方はホーソン効果の記事を読んできてください。
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