スピーチ恐怖症・発言恐怖症とは?
スピーチ恐怖症の原因は?
社交不安障害や透明性の錯覚との関連は?
そんなあなたの疑問にお答えします。
本記事ではスピーチ恐怖症について、関連する精神障害やその他の恐怖症を交えて徹底的に解説します。
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【スピーチ恐怖症・発言恐怖症】スピーチが怖い人の心理を徹底的に解説!
✓本記事でわかること
スピーチ恐怖症・発言恐怖症とは/社交不安障害・透明性の錯覚との関連/マイク恐怖症・沈黙恐怖症・無言恐怖症・静寂恐怖症・無音恐怖症・笑われ恐怖症・長い単語恐怖症との関連/克服法やオススメ書籍の紹介など
スピーチ恐怖症・発言恐怖症を徹底解説!
1.スピーチ恐怖症・発言恐怖症とは?
スピーチ恐怖症、あるいは発言恐怖症(Glossophobia)とは、人前で発言することに恐怖する症状です。
スピーチ恐怖症という言葉は、ギリシャ語の「γλῶσσα glossa(舌)」と「φόβος phobos(恐怖または畏れ)」から派生しています。
スピーチ恐怖症の原因は不確かですが、遺伝的要因や最も一般的な精神障害である社交不安障害(SAD)から準備不足による緊張まで、様々な要因が考えられます。
また、「透明性の錯覚」の可能性も指摘されています。「透明性の錯覚」とは、自分の感情や思考が相手に見透かされていると思い込んでしまう心理的な傾向のことです。
2.SADとの関連
スピーチ恐怖症の原因に関しては多くの研究が行われ、さまざまな潜在的な原因が提案されています。
提案された説明の1つは、闘争・逃走反応(fight-or-flight response)に関連する恐れによって生じる社交不安の特定の症状です。
闘争・逃走反応とは、動物が示す恐怖への反応です。恐怖に直面したときに、「戦う」「逃げる」「動きを止める」のいずれかの方法で生き延びるための本能的に備わった行動です。
スピーチをする場面で過剰に力が入ってしまう場合は、闘争・逃走反応に関連する恐れが生じている可能性があります。この反応は「火事場の馬鹿力」と表現されるような驚異的な力が生じる一方で、長期的には心身にストレスを与える反応であると知られています。
闘争・逃走反応は、社交不安障害(SAD)と呼ばれる精神障害と関連しており、社交的な相互作用(スピーチなど)に対する他者の厳しい判断や視線が、失敗などの悪い結果をもたらすと考える精神的な傾向があります。
そのため、スピーチなどの社交的な相互作用が起こる前に、失敗や畏怖、無力感などのネガティブな思考を生み出し、それによってネガティブな感情と生理的な反応を引き起こします。
簡単に説明すると、スピーチの聴衆の厳しい反応が自身の失敗を招くと考え、スピーチをする前にネガティブな思考をしてしまい、それによって不安になったり恐れを抱いたり、震えや発汗などの身体的症状やパニック発作が現れることがあるということです。
社交不安障害を患っている人は、スピーチに対して注意力散漫となり、集中力を保つ能力を損ない、エネルギーを消耗するネガティブな自己対話を行います。
ここでの自己対話とは、「失敗したらどうしよう」「もうだめだ」「うまく話さないに違いない」などのネガティブな思考もふくまれます。
社交不安障害を患う人はスピーチが苦手であると思い込んでおり、これが事実であるという信念を持ち、自己成就的な予言による心理現象の犠牲者になります。
自己成就的な予言による心理現象がマイナスに働くと、ネガティブに物事を考えた結果、物事がネガティブな方向で実現化することがあります。
このあたりの説明は、ナポレオン・ヒルの『思考は現実化する』がわかりやすいと思います。自己啓発の歴史的名著なので、読んだことが無い方は一度、読んでみてください。
3.関連する恐怖症
スピーチ恐怖症に関連して、マイク恐怖症、沈黙恐怖症・無言恐怖症、・静寂恐怖症・無音恐怖症、笑われ恐怖症、長い単語恐怖症について解説します。
①マイク恐怖症
マイク恐怖症とは、社交不安障害の一形態であり、マイクを通じて話すことや歌うことに対する強い不安や恐怖を指します。
公の場で話したり歌ったりすることが苦手な人は多数いますが、マイクを持つことで恐怖が増長される場合がマイク恐怖症です。
②沈黙恐怖症・無言恐怖症
沈黙恐怖症・無言恐怖症とは、他人との対話や社交場面で沈黙を恐れ、会話の中で積極的に発言することに不安や恐怖を感じる症状です。
社交不安症の一形態で、会話が途切れることや、会話と会話の「間(ま)」に強い不安を覚えます。
③無音恐怖症・静寂恐怖症
無音恐怖症・静寂恐怖症とは、音が無い空間に恐怖する症状です。
部屋でずっとテレビを流していないと落ち着かない、会話と会話の合間の「しーん」とした状態が怖いなど、人によって恐怖するシチュエーションは様々です。
④笑われ恐怖症
笑われ恐怖症とは、笑われることを極度に恐れる症状です。
笑われ恐怖症の患者は、笑われることを常に心配し、周囲に嘲笑の兆候がないかを注意深く監視する傾向があります。
また、笑われ恐怖症の患者は自分たちを卑下する傾向にあり、自己肯定感の低さを特徴とします。
⑤長い単語恐怖症
長い単語恐怖症とは、長い単語に恐怖する症状です。
英語で書くと「hippopotomonstrosesquipedaliophobia」で、「ヒポポトモンストロセスキッペダリオフォビア」と読むジョークのような恐怖症です。
長い単語恐怖症の人の中には、長い単語をうまく発音できないことに恐怖する場合があります。
噛んでしまったり、発言が止まってしまう事による他人の目線が気になってしまうのです。
4.スピーチ恐怖症の克服
恐怖症の一般的な治療法に曝露療法というものがあります。恐怖の対象に自身をさらし、慣れていくという手法です。
スピーチ恐怖症においては、以下のように段階を踏んでスピーチに慣れていくと良いです。
- 無観客状態でスピーチをするところから始める。最初は短い時間のスピーチを練習する。
- 慣れてきたら観客を一人、二人と増やしていく。最初は緊張しない間柄の人間に観客役をしてもらう。また、スピーチの時間も少しずつ増やしていく。
このように、観客の数、スピーチの時間の記録を少しずつ伸ばしていきます。
このとき、スピーチに耐えられる時間や感情の変化をノートなどに記録して、克服の過程を客観視することをおすすめします。
また、スピーチテクニックを身に付けることも重要ですが、それ以上に話し方に関するマインドを身に付けることも大切です。
以下、話し方に関するオススメの本です。よろしければ読んでみてください。
- 頭のいい人が話す前に考えていること 単行本(安達裕哉)
- 人は話し方が9割(永松茂久)
一般的な恐怖症の治療法についてはこちら
その他の恐怖症は以下の記事からご確認ください。
今回はここまでです。
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