ローボールテクニックが恋愛や仕事に使えるってほんと?
一貫性の原理について知りたい!
そんなあなたに向けた記事です。
ローボールテクニックは本当に危険なテクニックです。本当にたちが悪いです。
今回は心理学テクニックを使うための記事ではなく、使われた時のための自己防衛目的の記事です。
もし使用目的で本記事にたどりついた場合は、その実態をまずは知ってください。
✔本記事のテーマ
【悪用厳禁】最低最悪の心理学的手法、ローボールテクニックとは?【居酒屋のキャッチ】
✔本記事でわかること
- ローボールテクニックとは?
【意味と由来/悪用例/関連実験/一貫性の原理/注意点】
ローボールテクニックとは?
1.ローボールテクニックの意味と言葉の由来
ローボールテクニックとは、まずは好条件だけを提示して相手の承諾を得た後に悪条件を追加したり好条件を取り除いたりする交渉術です。
このテクニックの名前は、野球に由来しています。キャッチボールをするとき、低いボールから徐々に高さを上げていくと相手が捕球し易くなるということに由来しています。
高いボールから徐々に下げていった方が良い気がしますが…。
2.ローボールテクニックの悪用例
ローボールテクニックはほぼ心理学の悪用です。
典型は居酒屋のキャッチです。居酒屋のキャッチの手口は以下の通りです。
まず飲み放題1000円などの好条件で客を店内に導きます。
その後、高いお通し、最低料理を3品頼まなくてはならないなどの悪条件を追加してきます。
ひどいケースだと、人数が足りていないから飲み放題を適用できないなどと理由をつけて好条件を取り下げてきます。
このように、ローボールテクニックは心理学の悪用の典型であり、相手をだます事を前提とした手法です。
その他にも以下のような悪用例があります。
- 割引を全面に押し出した広告に対し、割引対象となる商品は一部のわずかな商品だけだった。
- スマホのお得なプランがあったが、そのプランを適用するためには様々なサービス登録が必要であった。
ここで問題となるケースは、悪条件を追加する、好条件を取り下げることを隠している場合です。
だいたい悪意のある営業の場合、「実は伝えきれていない情報がありまして…」「お客様にお伝えし忘れた情報がありまして…」と、偶然忘れたふりをし、形式上の謝罪が伴います。
情報を伝え忘れたのは偶然ではないし、伝え忘れたことをまったく悪いと思っていないので、容赦なく断るようにしましょう。
その他にも、人間関係で悪用されるケースがあります。
- 上司にちょっと仕事を手伝ってくれたと言われた。承諾したらとんでもない量の仕事を振られた。
- みんなで遊ぶ予定で誘われたから承諾したのに、待ち合わせ場所に着いたら男が一人だけ待っていた。
ローボールテクニックは恋愛心理学という胡散臭い用語とともによく登場します。
実際、恋愛などにローボールテクニックを使用することを推奨する指南書などがあるので注意が必要です。
以下の記事は恋愛心理学でよく使われる心理学のテクニックをまとめたものです。恋愛に限らず人間関係で悪用されることが多いので、自己防衛のために読んでみてください。
3.関連実験
ローボールテクニックに関連する実験としては、心理学者のロバート・チャルディーニが63人の学生に対して行なった実験が有名です。
- 朝7時から開始される実験への協力率を調べる。
- 学生をローボールテクニックを用いるグループとローボールテクニックを用いないグループに分ける。
- ローボールテクニックを用いるグループには、実験協力の承諾を取り付けた後、朝7時から開始することを告げた。最終的な承諾率は56%だった。
- ローボールテクニックを用いないグループには、最初から朝7時から始まることを告げてから実験協力を依頼した。最終的な承諾率は31%だった。
この実験により、ローボールテクニックを伝えると相手の承諾率が上がることが示されました。
4.なぜ人は断れないのか?一貫性の原理とは?
ローボールテクニックを用いられた人はなぜお願いを断ることができないのでしょうか。
これには一貫性の原理というものが関係しています。
一貫性の原理とは、人が自分の行動や態度を一貫させようとする心理的傾向のことです。
例えば、一度ある要求を承諾した場合、その後の条件が変わっても一貫性を保とうとして承諾を取り下げない傾向があります。
居酒屋のキャッチの例でいうと、一度”1000円飲み放題”を受け入れたわけだから、条件が変わったからといって断れない。
要は断りづらいということです。このように、ローボールテクニックは相手の罪悪感につけこむ姑息な手法なのです。
また、一貫性の原理には重要な要素があり、選択の幅が限定されるということです。
私は黒い物を良く買うので、家には黒い色をした物があふれかえっています。
それでは黒い物が好きかというとそうでもなく、一度黒い物で揃え始めた手前、黒で統一しないと気が済まなくなっているのです。
しかし、良いところもあり、例えばAmazonで何かを買うときは初めから黒い色で絞り込むため、選択肢が最初からぐっと絞られるのです。
このように、選択肢の幅が限定されることで、意図的に特定の方向に導かれるといった側面も一貫性の原理にはあるのです。
この選択肢の幅の限定が、ローボールテクニックには応用されています。
一度承諾したことを取り下げるということは、選択をするということになります。しかし、承諾を取り下げなければ選択をする必要がないということです。
人間は一日のうちに何度も選択に迫られます。選択肢の回数を減らすということを無意識的に行ってしまうのです。要は省エネです。
以下は一貫性の原理を用いた心理学のテクニックである「フット・イン・ザ・ドア」と「イエスセット」を紹介した記事です。
ローボールテクニックと比べると随分とましな手法ですが、悪用されることがあるため内容は理解しておいた方がよいです。
その他、悪用されやすい心理学のテクニックとしてウィンザー効果と、詐欺への注意喚起をした記事も載せておきますので、あわせてご確認ください。
参考記事1:【恋愛・ビジネスに使える?】フット・イン・ザ・ドアで大きな成果を勝ち取れ!
参考記事2:【イエスセット】営業や恋愛に使えるらしい一貫性の原理の例とは?
5.ローボールテクニックの注意点
ローボールテクニックを用いた場合、相手との心理関係を損なうおそれがあるということを理解しましょう。
また、相手がローボールテクニックを見抜いた場合、交渉の雰囲気が悪化し、取引や関係の継続に悪影響を与えます。
ローボールテクニックの使用は相手に対して不当なプレッシャーを与えます。無理な要求や強制的な決断を迫ってはいけません。
どうしても使う場合は、ローボールテクニックの範囲を明確にすることが重要です。明示的に条件や要求を提示し、相手が承諾する前に悪条件や変更点を伝えることで、不透明さを避けることができます。
最後に、心理学による交渉は有効な場面もありますが、適切な判断と倫理観を持って使用することが重要です。相手との信頼関係を大切にし、公平かつ誠実な交渉を心がけましょう。
今回は以上です!
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