ボウルビィの愛着理論とハーロウの代理母実験をわかりやすく解説

心理学の応用
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知りたガリお
 

ボウルビィの愛着理論について知りたい!
愛着行動の四段階について知りたい!
ハーロウの代理母実験との関連を知りたい!
ストレンジ・シチュエーション法とは?

そんなあなたに向けた記事です。

これらの内容をバランスよく説明していきます。

子育てにダイレクトに関係する内容になっていますので、子供を持つ親御さんや、教育者の方にはぜひ読んで欲しい記事です。

✔本記事のテーマ

ボウルビィの愛着理論とハーロウの代理母実験をわかりやすく解説

✔本記事でわかること

【愛着理論と代理母実験、ストレンジ・シチュエーション法】ボウルビィの愛情理論とは?/愛情行動の四段階/エインスワースのストレンジ・シチュエーション法/アカゲザルの代理母実験

愛着理論と代理母実験、ストレンジ・シチュエーション法

1.愛着理論(アタッチメント理論)とは?

愛着理論は、人間の発達と愛情形成の理論的枠組みで、イギリスの医学者、精神分析家であったジョン・ボウルビィによって提唱されました。

ボウルビィは、子どもが安全で信頼できる関係を築くことが成長と発達に重要であると考えました。

愛着理論は、主に子どもの発達と親子の関係に焦点を当てています。ボウルビィは、子どもが親などの養育者との安定した絆(愛着)を形成することが、精神的な安定や発達にとって重要であると主張しました。

愛着は英語でアタッチメント(Attachment)というので、アタッチメント理論ということもあります。

2.愛情行動の四段階

ボウルビィは愛情行動を4つの段階に分けて説明しました。

①第一段階(生後3ヶ月頃まで) 
  • 人に関心を示すが、人を区別した行動は見られない。
  • 泣く、笑う、「あ~」、「う~」といった声出しなどの発信行動が見られる。
  • 養育者を目で追う、音のした方を見るなどの定位行動が見られる。
  • これらの行動は周囲の人に無差別的に行われる。
②第二段階(生後6ヶ月頃まで)
  • 養育者と他の人物を区別する反応が見られるようになる。
  • その他の人があやすより養育者があやしたほうが喜んだり、泣き止んだりしやすい。 
  • 愛着行動が顕著に現れ始める。
③第三段階(2~3歳頃まで)
  • 人物の区別がはっきりとできるようになる。
  • 知らない人への警戒心が出始め、人見知りをするようになる。
  • 養育者への愛着がさらに顕著になり、接近や接触の回数が増える。
  • ハイハイや歩行ができるようになり、愛着行動に移動が伴うようになる。これにより愛着行動の種類が格段に増える
  • 泣く、ぐずる、癇癪を起す、じっと見つめる、吸う、叩く、しがみつく、後を追うなどの行動が見られる。
  • 養育者がいなくなると探し求める行動をするようになる。
  • 養育者を安全基地として周囲の探索を行う。嬉しいことがあれば安全基地に報告にくる、悲しいことがあれば安全基地に救いを求めにくる。
  • 自分の不安を和らげたり欲求を満たすために、意図的、計画的に愛着行動を取るようになる。
④第四段階(2~3歳以降) 
  • 愛着対象との身体的接触が必ずしも必要ではなくなる。
  • 相手の感情が少しずつ理解できるようになる。
  • 相手の状態に応じて愛着行動を修正するようになる。協調性などが芽生え始める。
  • 短時間であれば養育者がいなくても精神的に安定していられる。今までは養育者がいなくなると養育者が存在しなくなったと考えたが、養育者の姿が一時的にいなくなっても心の中に存在している考えられるようになる。
  • 物理的な接近が減り、認知的な接近ができるようになる。

3.ストレンジ・シチュエーション法

アメリカ系カナダ人の発達心理学者であるメアリー・エインスワースは、愛情行動をA~Cの3パターンに分類しました。その後、新たなDタイプが追加されました。

これらの分類はデータが不十分との指摘があります。参考程度にとどめてください。なお、理想的なタイプがBタイプで、A、C、Dが望ましくないタイプになっています。

Aタイプ:回避型
  • 養育者と分離しても泣いて抵抗しない、再会しても反応がうすい。再開時に養育者を避け、養育者を安全基地と見なさないことも。
  • 養育者と子供の信頼関係が確立できていない。
  • 養育者が子供を無視する傾向。例えば褒めない、泣いてもあやさない、身体的接触が少ないなど。
Bタイプ:安定型
  • 養育者と分離すると泣いて抵抗する、再会すると喜ぶ。
  • 養育者と子供の信頼関係が確立している。
  • 理想形。子供の欲求に敏感で子供に無理強いをしない。平和な接し方ができている。
Cタイプ:葛藤型
  • 養育者と分離すると泣いたり怒ったりする、再会すると喜びと怒りが入り混じったような反応をする。
  • 分離に対する不安が強い。再開に対して攻撃性を見せることがある。養育者が安全基地として機能していないが、子どもは側にずっといたがる。
  • 養育者の子供への関りが不適切。養育者が子供の反応に鈍感。自己都合的な接し方をする。養育者の発達障害が疑われる。
Dタイプ:無秩序型
  • 分離や再会に対する反応に一貫性がない。無秩序で無方向の反応を示す。近づいてくるが顔はこちらを見ていないなど。
  • 養育者におびえる様子を見せる一方、見ず知らずの者に親しく接ることもある。
  • 不適切な養育、抑鬱状態など養育者の精神疾患が疑われる。虐待をしているケースもある。
  • A~Cタイプに当てはまらないケースがあったため、後から追加されたタイプ。

4.ハーローの代理母実験

ここで、ボウルビィの愛着理論の裏付けとなったハーロウの代理母実験を紹介します。

ハーロウの代理母実験は、アカゲザルを用いた愛着形成に関する研究で、アメリカの心理学者であるハリー・ハーロウによって行われました。

  • アカゲザルを母親から隔離し、2種類の代理母の模型が入ったカゴに入れて様子を観察した。
  • 代理母の模型は授乳機能を持つ針金製のものと、授乳機能を持たない布製のものの2種類を用意した。
  • 子ザルは、乳を飲むときは針金製の代理母を利用したが、多くの時間は布製の代理母の側で過ごした。
  • 子ザルに恐怖心を与えると、布製の代理母にしがみつくといった反応が見られた。

このことから、乳を飲むことで得られる生理的欲求の充足では愛着形成は不十分で、母親への接触による安心感が愛着形成に大きな影響を及ぼすことがわかりました。

しかし、この実験には批判的な意見が多数挙げられています。

アカゲザルの中に自傷行為をするものや精神に異常をきたすものが現れたからです。また、実験で用いられたメスのアカゲザルが出産経験後、子ザルの育児を放棄する傾向が見られたとのことです。

ハーロウの代理母実験は、その倫理的な問題点とともに、愛着理論の基礎を築く上で重要な研究となりました。この実験を通じて、愛情と安心感が子どもの発達に与える影響が明らかになり、人間の心理や行動に関する理解が進んでいきました。

今回は以上です!

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