疾病恐怖症の特徴や症状は?
疾病恐怖症の種類は?
心気症や病気不安症との違いは?
そんなあなたの疑問にお答えします。
本記事では疾病恐怖症の症状や特徴の解説の他、心気症・病気不安症との違い、治療法などを紹介していきます。
✓恐怖症一覧
✓本記事のテーマ
【疾病恐怖症】病気が怖い人の特徴/心気症・病気不安症との違い
✓本記事でわかること
疾病恐怖症とは/心気症、病気不安症との違い/治療法など
✓疾病恐怖症のまとめ
1.疾病恐怖症とは?
疾病恐怖症(Nosophobia)とは、自身の健康に過度の恐れを抱く症状で、癌恐怖症、エイズ恐怖症、精神病恐怖症、心臓病恐怖症などがあります。
疾病恐怖症の症状や特徴は、以下のようなものです。
①病気への強い不安
疾病恐怖症の人は、常に自分が特定の病気になっているのではないか疑います。何か身体的な変化が生じると、その病気の兆候であると考えます。
例えば癌恐怖症の場合、腹痛がすると大腸癌を疑ったり、喉の痛みを感じると咽頭癌を疑ったりするなどです。
このような不安は非常に強烈で、なんだかだるい気がする、なんか頭が冴えない、眠気がする程度の些細な変化であっても特定の病気に無理矢理結び付けて考えます。
②異常な健康への関心
疾病恐怖症の人は、自身の健康に過度な関心を払う傾向があり、健康に関連する情報を熱心に追い求めます。
これには病気の症状や治療法についての情報収集も含まれます。しかし、この行動の結果、疾病恐怖症がかえって悪化することがあります。
例えばメディアのネガティブな情報、闘病記の一部の情報のみを鵜呑みにし、病気へ結びつける判断根拠として偏った知識を蓄積していきます。
例えばある闘病記で「最初は体に小さな発疹が生じた。その後、病院で詳しく検査した結果、エイズであると診断された。」などの文言があったとします。
すると、少し肌が荒れただけで「やはり自分はエイズなんだ……」と思い込みを強化していきます。
このように、自分の思い込みを強化するために情報収集するという特徴を持ちます。
③頻繁な受診と医師への反発
疾病恐怖症の人は、自身の症状や不安を緩和するために医療機関を頻繁に受診することがあります。
しかし、多くの場合、医師からは実際には健康に問題がないと告げられることがあります。
ところが疾病恐怖症の人は、医師の診断は誤っていると考えることが多く、自分の病気の可能性を信じて医療機関を転々とすることがあります。
また、検査結果でまったく別の健康問題が発覚した場合は、その問題を自身が悩む特定の病気に結び付けたり、新たに別の病気に対する疾病恐怖症を生み出すことがあります。
本来、「特定の病気では無い」という事が安心につながるはずですが、疾病恐怖症の人は「特定の病気では無い」という事実が不安要素になってしまうのです。
④日常生活への影響
疾病恐怖症の症状は、日常生活に重大な制約を生じることがあり、仕事、家庭、社会的な関係に悪影響を及ぼすことがあります。
疾病恐怖症の人は常に病気の事を考えてストレスフルな状態であり、周囲との軋轢を生みだしやすい状況にあるといえます。
また、自身の健康状態について他人の意見に耳を傾けない傾向が強いため、周囲のアドバイスについつい反発してしまいます。
さらに、疾病恐怖症の特定の病気への疑いは科学的根拠が希薄な場合が多いため、周囲から理解が得られないことが多いです。
これらの理由から、人間関係に問題が生じるリスクを常に抱えている状態なのが、疾病恐怖症の人なのです。
また、身体変化が病気への不安につながりやすいため、身体変化が生じるリスクを避けて外出を控えたり人との接触を避けたりすることもあります。
このように、疾病恐怖症が重度の場合は日常生活に大きな支障をきたしてしまうことが多くなります。
2.疾病恐怖症と心気症、病気不安症の違い
疾病恐怖症と心気症はしばしば混同されますが、世界保健機関(WHO)による医療分類リストである疾病および関連する健康問題の国際統計分類の第10版(ICD-10)では、疾病恐怖症を心気症のサブセクションと見なしています。
心気症(Hypochondria)としても知られる病気不安症(illness anxiety disorder)は、身体症状を誤って解釈し、6か月以上病気にかかる、あるいはかかっているという思い込みが持続する精神障害です。
『精神障害の診断と統計マニュアル』の第4版では心気症と呼ばれていたものが、第5版では病気不安症と名称変更されています。正確には心気症の25%を病気不安障害の診断に置き換えたというものです。
疾病恐怖症と心気症、病気不安症の違いは診断名の違い、分類上の違いというのが大きなものですが、疾病恐怖症は特定の病気に対するこだわりが強く、心気症・病気不安症は比較的不安の対象が広範であると考えるとわかりやすいです。
3.疾病恐怖症の治療法
疾病恐怖症の対処法で知られている方法をいくつか紹介します。
①徹底的な診断
疾病恐怖症の人は些細な変化を特定の病気であると考える傾向にあるため、徹底的に検査をしてありとあらゆる可能性を否定していくことが重要です。
中途半端な回数の検査はかえって疾病恐怖症の症状を悪化させるので、納得いくまで徹底的に行うことが重要です。
この、「納得いくまで」というのがポイントです。ただし、重度の不安症がある場合は「納得いく」という状態にいつまで経っても至らない可能性があるので、認知の歪みをとる必要があります。
②認知行動療法(CBT)
恐怖症は認知行動療法が有効です。
認知行動療法において治療者は、個々の身体感覚についての認知モデルを示しながら、別の安心できる説明・解釈(事実に基づいている)を提示し、患者が苦痛・恐怖の少ない解釈を採用できるよう支援します。
その際、従来の解釈と別の解釈のそれぞれのメリットの比較、根拠となっている考えの正当性の議論や再調査を行うなどし、正しい解釈を安心して採用できるようにサポートしていきます。
要は、認知の歪みを正し、患者の偏った解釈を客観的で事実に基づいた正しい解釈に置き換えていく支援を行うということです。
その他、セルフコンパッション、マインドフルネス瞑想、自己効力感の向上など心身の状態を改善する様々な試みを取り入れるとよいでしょう。
一般的な恐怖症の治療法はこちら
自己肯定感に関する記事一覧はこちら
その他の恐怖症については以下の記事からご確認ください。
今回はここまでです。
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